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大雪のせいでパブに3日間閉じ込められた! イギリスで起きた嘘みたいな本当の話

カラオケやゲームを楽しむ常連客もいたとか!

11月26日金曜日の夜のこと。極寒の中、数十人がイングランドのヨークシャーにある人里離れたパブで、生演奏を聴きながらお酒を楽しんでいた。

予報では、「今シーズンで最も寒い夜」になると言われており、気温はマイナス10度まで下がると予想されていた。

最終的に、彼らがパブを出たのはその3日後だった。

常連客たちが、パブ「タン・ヒル・イン」に何日も滞在することになった背景には、現地を直撃していた嵐「Arwen(アルウェン)」の影響があった。

パブがあった地域は大雪に見舞われ、最大風速約44メートルの強風が電線を直撃し、数万人の住宅が停電した。

26日にタン・ヒル・インで行われたオアシスのトリビュートバンド、ノアシスの公演では100枚以上のチケットが販売されていたが、最終的には集まったのは61人だった。

パブの音楽ホールでは、多くの人がノアシスがカバーした「Wonderwall」に合わせて踊り、楽しんでいた。

その間、外には大量の雪が降り積もっていた。

家から2時間かけてバンドを見に来たというベッキー・ロングソープさんは、その時の様子を振り返った。

「精神的に参った。ドアを開けたら、積雪の高さに驚いた。お酒を飲んでいたので、混乱してしまった。かなり危険な状況になってしまったと思った」

そこで、パブの常連客、スタッフ、そしてバンドまでもがその場所に一泊することになったのだ。

そして、土曜日にもう一泊、さらに日曜日にもう一泊することになった。

常連客のトム・リグビーさんはBuzzFeed Newsにこう語った。

「私たちは金曜日に到着したが、天候が悪化していったので、長い週末になりそうだと思った」

イギリスの多くの居酒屋と同様に、タン・ヒル・インにもいくつかの客室とベッドがあるが、それほど多くの人が利用できるわけではない。

キャンピングカーでライブに来た人もいれば、ライブが終わったら帰ろうと思っていた人もいた。

ロングソープさんは、テントを張ってキャンプするつもりだったという。しかし、みんなパブで寝ることになった。

「驚くほどの猛吹雪だった。風でテントがズタズタになった」とロングソープさんは言う。

「最初の夜は、15人くらいがソファで寝た。可能な限り寝そべった。まるで大人のお泊まり会のようだった!」

「土曜日の朝、目が覚めたときに、『ちょっと待ってよ。これは深刻だ』と感じた」

ヨークシャーデール国立公園内にあるタン・ヒル・インは、海抜約528メートルに位置する。イギリスで最も高い場所にあるパブだ。

頻繁に雪が降るため、営業者も頭を悩ませているという。

前オーナーが2017年にパブを売却した際、12年間で約50回も大雪に見舞われたと警告されたそう。

2010年には、大晦日のお祝いに来た客30人が、3日間足止めされた。

2016年には、バンド「Scouting for Girls」のパフォーマンスを見て、約200人が一夜を過ごしたこともあったという。

26日から一夜明けて、土曜日になると、タン・ヒル・インの周りはまるでツンドラのようになっていたという。

車が雪に埋もれ、パブのドアや窓も塞がれてしまっていた。

雪を掘ってパブから脱出できたとしても、警報が出ているため車の運転も危険だ。

バンドが演奏していたホールで、常連客やスタッフらの会議が開かれた。

誰ひとり外に出られないだけでなく、電線は切れていて、道路には車が放置されていた。パブの中にいた人の多くはこのまましばらく助けは来ないだろうと思っていた。

「しかし、私たちは暖かく安全な場所にいたので、この状況を受け入れることにした」 とリグビーさんは語った。

時間をつぶすために、客たちはボードゲームやカードで遊んだ。カラオケを歌ったり、クイズ大会を開催したりもした。

居合わせたバンドメンバーは、次の公演に間に合わないことをファンに謝罪し、閉じ込められたパブの中で数曲を披露したという。

食事は無料で提供されるものもあれば、半額で販売されるものもあった。パブなので、お酒が尽きることはなかったという。

「3日間、みんなでしっかりと飲んでいた。確実に元を取ったと思う」とロングソープさんは言う。

パブの状況の話題が広まるにつれ、オーナーであるニコラ・タウンセンドさんは、メディアのインタビューを受けるようになった。

イギリスの朝のテレビ番組、スカイニュース、BBC、ラジオなどに出演した。

また、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙の取材も受けた。イタリア、ドイツ、スウェーデンでもこの話は大きなニュースになった。

タウンセンドさんはイギリスのテレグラフ紙に、「まるでたくさんの友人たちと夕食を共にするような感じ」だと語った。

「友情が生まれ、大家族のような、そんな表現がぴったりな雰囲気になった。一人の女性は実際に『帰りたくない』と言っていた」

滞在中、客たちは募金箱を回して数百ドルを集め、安全を守り、温かいローストディナーを食べさせてくれた従業員やスタッフに賛辞を送った。

29日月曜日の朝には、除雪車が近隣の道路の雪を取り除き、客たちはようやくパブを出ることができた。

ロングソープさんは、家に帰って金曜日から着ていた服を着替えられることが嬉しかったいう。リグビーさんは、自分のベッドで寝られることに安堵したという。

「私たちは間違いなくシャワーを浴びる準備ができていたが、一晩か二晩は、ワインを飲まなくても大丈夫だと思う」

パブのフェイスブックページでは、音楽ホールに集まった客たちの写真が公開されている。

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「困難な状況の中で、人生を変えるような経験を、素晴らしい人たちとできたことは一生忘れません」

2022年には宿泊スペースを増やして、タン・ヒル・インで同窓会を開く噂が流れているという。

ロングソープさんはこの経験について、「運命的だった」と語った。

「誰もが一度はどこかで立ち往生することを考えたことはあるだろう。でも、まさかパブに閉じ込められるなんてね?とてもいい経験になったよ」

この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:アシュウェル英玲奈