即決処刑で殺害された14歳の少年、性的暴力にさらされた4歳の少女と82歳の女性…。
残忍な暴行を受けた神父は、裸にされ、1時間にわたって村の通りを裸で練り歩くことを強要された。
国連人権理事会のウクライナに関する独立国際調査委員会の調査官に任命された3人の専門家は、ロシアが国際人道法および国際人権法の重大な違反を犯していると結論づけた。
これには、民間人が居住する地域への無差別爆撃、ウクライナのエネルギーインフラに対する攻撃、拷問、不法監禁、即決処刑、レイプなどが含まれる。
調査官らは、ロシアの戦争犯罪に「懸念を抱いている」と報告書に記している。
「ウクライナに関する独立国際調査委員会は、調査期間中に記録したロシアによる人権侵害、それに呼応する国際犯罪の件数、地理的分布、重大性に懸念を抱いている」
「これら(ロシアによる国際犯罪)は、あらゆる文化背景と年齢の男性、女性、少年、少女に影響を及ぼしている」
報告書は、ロシアに対する実質的な効果はほとんどなさそうだ。しかし、調査に協力しなかったロシアによる残虐行為の歴史的記録としての意味がある。
そして、国際刑事裁判所で責任を追及されることにより、ロシアへの圧力は強まるだろう。
ハルキウ州のある村で、ロシア軍に父親を処刑された男性は、調査官らにこう語った。
「ロシア軍は、罪のない人々を殺した。もし人々を殺した兵士が生きているなら、彼らは最大限に罰せられるべきだ」
報告書では、ウクライナが国際法に違反している事例も見つかっている。クラスター弾やロケット弾による対人地雷の使用、少なくとも2人のロシア軍兵士の拷問などだ。
調査官らは報告書を作成するため、595人に聞き取り調査を行った。ウクライナに8回渡航し、56の都市や集落を訪問した。
そして、民間人の被害者やヨーロッパ諸国に逃れた避難民に話を聞き、ブチャやマリウポリなど、惨状が国際的に注目されている地域での殺害と破壊の証拠を確認した。
その結果、戦争が始まってから数カ月の間に、女性2人と14歳の少年1人を含む少なくとも68人が、ロシア軍の即決処刑で殺害されたことがわかった。ほとんどが頭部への銃殺だった。
ロシア軍は、徒歩であれ、窓に 「Children(子どもが乗っている)」と書かれた車であれ、逃げようとする民間人を標的にし、無差別に殺害していた。
ロシア軍がウクライナ領の地域を占領する際、戦闘可能年齢の男性だけでなく、政府高官、ジャーナリスト、発電所の従業員、インフルエンサーなどを頻ぱんに拘束するようになった。
ある人はロシアの反体制派に協力したと疑われ、別の人は単にウクライナを支持する考えを持っていただけで拘束された。
拘束された人たちは、すでに過密になっている牢獄、警察署、地下室などに監禁され、少なくとも1人は9カ月以上投獄されたという。
ある調査官は、監獄の様子をこう記録している。
「あるケースでは、学校の地下室に監獄された10人の高齢者が、非人道的な環境が原因で亡くなった。その後、子どもを含む他の収容者らは、亡くなった人々の遺体とともに居続けなければならなかった」
また、収容者らがひどい仕打ちをうけたことも分かっている。
多くの収容者らは、殴る蹴るなどの暴行、感電、ビニール袋による窒息状態、逆さ吊り、極寒の環境に耐えるのを強いられるなど、さまざまな拷問を受けた。
ある生存者は「ウクライナ語を話したことに対する罰」として、また「ロシア連邦国歌の歌詞を覚えていない」という理由で殴られたという。
ロシア軍が民間人をレイプした記録も判明している。
ロシア軍は家宅捜索の際、拘束者や民間人を頻ぱんにレイプしていた。報告書では、妊娠中の民間人女性がレイプしないよう懇願したが、数日後に流産に至った事例も記録されている。
子ども数千人を含む拘束者たちは、意思に反してロシアに強制移送された。子どもたちの中には、ロシア国籍が与えられ、里親のもとに預けられるケースがあるという。彼らがウクライナに戻ることはないだろう。
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:髙島海人