新型コロナ感染から6週間。男性が別人のようになった体を公開

    「自分の携帯電話すら持てません。ものすごく重く感じます。また、手が震えるため、テキストを入力することもできません」。幸い、彼の容態は快方に向かっている。

    アメリカ、ボストン病院。コロナウイルス専門病棟のベッドに座りながら、マイク・シュルツさんは静脈内鎮静と気管挿管の処置について、看護師と話をしていた。

    「入院してまだ1週間しか経っていないと思っていました」とシュルツさんはBuzzFeed Newsに語った。

    しかし、シュルツさんが入院していたのは1週間ではなく6週間だと、看護師は彼に知らせた。

    「本当に体が弱くなりました。今回もっともフラストレーションを感じた点です」とシュルツさん。

    「自分の携帯電話すら持てません。ものすごく重く感じます。また手が震えるため、テキストを入力することもできません」

    シュルツさんはサンフランシスコ出身の看護師だ。43歳の彼には、何の基礎疾患も無かった。

    シュルツさんは、通常は週に6〜7回トレーニングをしていた。体重は約86キログラムあったが、取材時(5月19日)には約63キログラムまで落ちていた。

    ようやく食事ができるようになり、肺活量もゆっくりと回復し始めたばかりだった。

    シュルツさんは5月11日、新型コロナウイルスによる自分の体の変化を知らしめる写真を、インスタグラムに投稿した。

    左の写真は、シュルツさんがコロナウイルスに感染する約1カ月前だ。右の写真は、回復期病棟にいる時に撮影されたものだ。

    この時、写真を撮るためにベッドから数分間立ち上がるだけでも疲れ切ってしまったと、シュルツさんは話している。

    「新型コロナウイルスの感染が拡大していることはもちろん知っていました。でも自分が感染するまでは、正直それほど深刻に捉えていなかったのも事実です」

    「自分はまだ若いから、感染しないだろうと思っていました。そして多くの人も、同じように考えていることでしょう」

    写真を投稿した理由について、「全ての人が新型コロナウイルスに感染する可能性があると伝えたかった」と語った。

    「年齢や基礎疾患の有無は全く関係ありません。全ての人に起こりうることです」

    シュルツさんは3月16日に病院を受診している。その2日前、シュルツさんはサンフランシスコの自宅からボストンに行き、パートナーのDJ、ジョシュ・ヘブルスウェイトさん(29)に会っていた。

    この時若干体調が悪かったものの、高熱は出ていなかったという。

    そのさらに1週間前、2人はヘブルスウェイトさんが働いていたサーキットパーティー「ウィンター・パーティー・フェスティバル」に参加するため、マイアミビーチに向かった。会場には数千人もの人がいた。

    シュルツさんは友達らと一緒に笑っている自分の写真をInstagramでシェアし、素晴らしい時間を過ごしたと投稿している。

    会場にウイルスが潜んでいることに、参加者たちは全く気付いていなかった。

    「新型コロナウイルスの感染者が増えていることはもちろん知っていました」とシュルツさん。

    「とはいえ、イベント会場には何の規制もありませんでした。街がロックダウンされていたわけでもありません。ただ、念入りに手を洗って、あまり顔を触らないようにすればいいのかな、くらいにしか考えていなかったんです」

    しかしその後、ウィンター・パーティー・フェスティバルに参加した少なくとも38人が、新型コロナウイルスに感染した。そのうち3人の男性は死亡した

    シュルツさんがボストンに到着してから2日も経たないうちに、シュルツさんとヘブルスウェイトさんの体調は急激に悪化し始めた。

    シュルツさんの体温は約39.4度まで急上昇し、呼吸困難に陥った。シュルツさんは急いで病院に向かった。

    「病院のスタッフはマイク(シュルツさん)をすぐに連れて行きました。別れを告げる間もありませんでしたし、その場にとどまることも許されませんでした」と病院に同行したヘブレスウェイトさんは話した。

    入院初日、シュルツさんはフルフェイスのマスクを通し鼻から酸素を与えられた。その後医師たちは、鎮静薬の投与を始めた。

    「医師の1人に、おそらく早い段階で挿管をすることになると聞かされ、驚きました」とシュルツさんは話す。

    入院してから4日経たないうちに、シュルツさんはより大きな病院に搬送された。

    ヘブルスウェイトさんは、万が一のためにシュルツさんの医療代理人になるための手続きを行った。

    「周りに頼めそうな人もいなかったし、万が一の時に決断を行うのは、私しかいないと思いました」とヘブルスウェイトさんは振り返る。

    「本当に怖かったです」

    その後シュルツさんは、4週間半にわたって気管挿管された状態で過ごした。感染を防ぐため、ヘブルスウェイトさんはシュルツさんと一切面会できなかった。

    その代わり、ヘブルスウェイトさんは約4時間ごとに状況を知らせてもらっていた。彼からシュルツさんにも愛を伝えるため、看護師に連絡していたそうだ。

    「そして約4週間後、看護師がFaceTimeで彼と話をさせてくれました」とヘブルスウェイトさんは話す。

    「ほとんど昏睡状態のような感じでした。本当に怖かったです。でも、彼の顔を見ることができて本当に嬉しかったです」

    幸い、シュルツさんの状態は快方に向かった。しかし2人がウィンター・パーティー・フェスティバルに参加したことに関して、ネット上で批判を受けたそうだ。

    中には「コロナウイルスに感染して当然」という意見もあったという。しかしシュルツさんは、投稿に届いたたくさんの応援の声に耳を傾けるようにしている。

    「ネガティブな意見をもらうと、やはり困ってしまいます」とシュルツさん。

    「とはいえ、もらった意見の多くはポジティブな物だったので、それほど気にしているわけではありません」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。