「ジョークのつもりで」配達員が不在者投票の申請書に改ざん。米大統領予備選挙

    改ざんの跡が見られた8通の申請書のうち5通は、支持政党が民主党から共和党へとすり替わっていた。

    米ウエストバージニア州の郵便配達員が 、7月のアメリカ大統領予備選選挙の不在者投票用紙を申請した人々の登録政党を、民主党から共和党に変更していたことが発覚した。

    この配達員は起訴され、7月9日に法廷で不正行為を行ったことを認めた。最高で8年の懲役となる可能性があるが、検察側は罪を認める代わりに量刑を減らす司法取引に同意している。

    大統領予備選は、2020年11月に予定されている大統領選挙を行う前に、各政党内の候補者を決める手続きだ。党内手続きという面では共通する日本の自民党総裁選などと異なるのは、米国では各州の法律に従って公営で行われる点にある。

    ウエストバージニア州の場合、まず州の選管に有権者登録を行い、その際に自分が投票する政党も登録する。同州では二大政党の民主・共和両党のほか、地域政党2党の計4党が予備選の公認政党となっており、登録をした段階で選んだ政党の予備選に投票することになる。また、政党を登録をせず有権者登録することも可能だ。

    ドライフォーク在住のトーマス・クーパー被告(47)は、ウェストバージニア州有権者を欺いて公正な選挙を妨害し、郵便物に損害を与えたとして起訴され、法廷で起訴事実を認めた。

    新型コロナウイルスの影響で、同州では全有権者が2020年の予備選挙を郵便による不在者投票を行うことができる。

    しかし、ペンドルトン郡の選挙管理委員会に届いた不在者投票の申請書8通に、黒いペンを使って改ざんされた形跡があった。5月26日に提出された起訴状で、検察はこう指摘した。

    これらの申請書のうち5通は、有権者が選択していた政党が民主党から共和党にすり替わっていた。このままでは、有権者が投票しようとした民主党の予備選ではなく、共和党の予備選用の投票用紙が送られることになる。

    しかし登録用紙を見た選管職員は、改ざんを受けた有権者らの中に、共和党支持者ではない人がいることを知っていた。

    有権者らに電話をかけて確認すると、「郵便局で申請書を渡す前、民主党の投票用紙を申請するために青いペンを使った」と答えたという。

    他の3通に政党の変更はなかったが、申請書に改ざんの跡が見られた。

    4月下旬、捜査員がクーパー被告に事情聴取を行った。その時に、クーパーは投票用紙申請書の1部を変えたと認めたという。

    起訴状によると、「ジョークとして(やった)」と、クーパーは供述したという。改ざんを加えた申請書の差出人とは面識はないという。

    クーパー被告の弁護士スコット・カーナット氏は、「私たちの民主的な手続きにおいて、(被告は)自分が引き起こしてしまった結果を深く反省しています」とBuzzFeed Newsに語った。

    「しかし、覚えておいていただくべきことは、彼が改ざんした郵便物は投票のための不在者投票申請書であり、投票用紙自体ではないということです」

    ウェストバージニア州務長官のデータによると、ペンドルトン郡では、この予備選挙でおよそ2236票が投じられた。うち共和党には943票、民主党には1209票が投票された。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。