米テキサス州オースティンで4月、間違った車に乗ろうとした女性らを銃撃して重傷を負わせたとして、捜査当局は致死行為(人物への発砲)の疑いでペドロ・テロ・ロドリゲス・ジュニア被告(25)を逮捕・起訴した。
被害を受けた女性らは、地元のチアリーディングチームのメンバーで、食料品店の駐車場で自分の車と間違えて同被告の車に乗り込もうとし、気づいて自分の車に戻り謝ったところ、撃たれたという。
この日、ヘザー・ロフさんは、チアリーディングの練習を終えた3人のチームメンバーと、食料品店の駐車場にいた。
チームの責任者を務めるライン・シアラーさんによると、ロフさんは自分の車と間違えて、他人の車に乗り込もうとしてしまったという。
その車の助手席に座っていたロドリゲス被告をみて、自分の間違いに気づいたロフさんは、友人の車に戻った。
さらに車の窓を開けて被告に謝罪したところ、ロドリゲス被告は銃を取り出し、ロフさんらに向かって銃撃し始めたという。
車内にいた4人はパニックになり、車で逃げようとしたが、ロフさんの肩を銃弾がかすめ、一緒にいたパイソン・ワシントンさんも、足と背中に銃弾を受けた。
シアラーさんは事件当時の状況について以下のように話している。
「彼女たちは、男から逃げたい一心で、全速力で運転しました。メンバーの1人がケガを負ったことに気づいた後、車を路肩に止め、急いで緊急通報をしました」
警察によると、ロフさんはその場で治療を受けて帰宅したが、ワシントンさんは重体で病院に搬送されたという。
ロドリゲス被告が車に向かって何度も発砲しているのを、食料品店の店長が目撃していた。また、捜査官が入手した監視カメラの映像には、ロドリゲス被告の車のナンバープレートが映っていたという。
シアラーさんによると、事件が起こった駐車場は、彼女たちがいつも待ち合わせをしている場所だった。
才能もあり、努力家のチアリーダーとして知られていたワシントンさん。事件が起こった週末には、世界チアリーディング選手権の出場も控えていた。
年齢制限があるため、同選手権に4人が出場するのは「最後になるはずだった」という。
「ワシントンさんはアスリートとしても素晴らしいし、人間としても素晴らしい。本当に最高の子なんです」とシアラーさんは話す。
「ワシントンさんが最後の大会に出場できなくなってしまったのは、本当に悲しい。彼女は、チア界でいろんなタイトルを勝ち取ってきました。でも、事件のせいで、最後の大会のタイトルは取れなかったんです」
2021年に放映された米スポーツチャンネル「Woodward」のインタビューで、ワシントンさんは、「2年間で世界チアリーディング選手権を連覇する」という目標を語っていた。
「私はいつもチアに全集中している。夢でもチアのことを考えるし、起きてもチアのことを考える。いつもチームにとって何がベストか考えているの。チアが私にとってすべてよ」
ワシントンさんは先日、インスタグラムで「この2週間はすごく大変だったけど、はやく回復できるよう毎日がんばっている」とつづった。
「ガン・バイオレンス・アーカイブ」の集計データによると、4月時点で、少なくとも5411人が銃で殺害されており、7194人が銃による自殺で亡くなっているという。
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:筒井華子