多様性を求める意見を受け、ヴィクトリアズ・シークレットのショーが中止に

    重役による「トランスジェンダーのモデルや太ったモデルをショーに起用するつもりはない」という趣旨の発言が物議を醸し、多様性を重視する消費者がブランドから離れていった。有名人からの批判もあり、ショー中止という結末に至った。

    約25年続いたヴィクトリアズ・シークレットのファッションショーが、今年は中止となった。体型の多様性と包括性が消費者の注目を集めるようになったこの時代に、企業が消費者の声に応えるのが難しくなったのが理由だ。

    ヴィクトリアズ・シークレットを所有しているエル・ブランズは、顧客とのコミュニケーション方法を変えるために、長年続いた有名なランウェイのイベントを中止することを11月21日の決算報告で発表した。

    エル・ブランズのスチュアート・ブルクドルフCFOは、市場シェアを失いつつあるヴィクトリアズ・シークレットは、販売の減少に対処するために、古くて派手なマーケティングの伝統から脱却しつつあると話した。

    「以前にお伝えしたように、ヴィクトリアズ・シークレットのマーケティングを進化させることは非常に重要だと考えています。それは現在でもいくつかの点で起こっていることであり、そして今後ももっと起こりうることだと思います」とブルクドルフCFO。

    「もしヴィクトリアズ・シークレットが今後も評価され続けるのなら、最も重要なことは商品自体の品質だと考えています」

    またブルクドルフCFOは、ヴィクトリアズ・シークレットは今年のホリデーシーズンに、「ファッションショーに似たようなもの」を行うと約束した。

    ショーの行く末が怪しくなったのは数カ月前。7月にモデルのシャニーナ・シャイクは、ヴィクトリアズ・シークレットのショーが終了するのではないかということを、デイリー・テレグラフに話している。

    1995年に初めて開催されてTVで放映された、ヴィクトリアズ・シークレットのランウェイのショーは、すぐに文化的な現象になり、何百万人もの視聴者を引き付け、タイラ・バンクス、ジゼル・ブンチェン、ハイディ・クルムなどのスーパーモデルを生んだ。

    しかし、消費者が下着姿の極めて痩せた女性を偶像化することから遠ざかるようになり、より多様で包括的、そして親しみやすいモデルを要求するにつれて、ヴィクトリアズ・シークレットのショーの魅力は衰えていった。

    昨年12月に ビジネス・インサイダーは、2018年にABCで放送されたヴィクトリアズ・シークレットのショーを視聴したのは330万人で、2016年の670万人、2017年の500万人からさらに減少したと発表した。

    この背景にあるのは、エドワード・ラザークCMOの発言だ。商品が売れなくなるのでトランスジェンダーのモデルや太ったモデルをショーに起用するつもりはないとVogueでのインタビューで語り、物議を醸した。

    「どうしてトランスジェンダーのモデルや太ったモデルを使わないのかって?なぜなら、このショーはファンタジーだからです。42分のエンターテイメントだからです」

    ラザークCMOのコメントは猛反発を受け、カーリー・クロスのようなモデルはブランドを離れ、また2018年にショーでパフォーマンスを行ったシンガーソングライターのホールジーは、多様性を欠いているとしてヴィクトリアズ・シークレットを批判した。

    そして8月にラザークCMOは辞任することとなった。

    Twitter上では、ユーザーの反応は様々だった。あるユーザーは、「ヴィクトリアズ・シークレットは、太ったモデルをショーに起用しないことがおかしいということに気付いた」として、ラザークCMOの辞任を評価した。

    「サヨナラ~、ヴィクトリアズ・シークレットのショーがなくなっても全く困らないし」とツイートしている人もいた。

    しかし一方で、「1つの時代が終わってしまったようで、とっても悲しい」というツイートもあった。

    @gorgeousaura_ @enews Exactly I’m not their size but I love watching the beautiful models . I don’t buy magazines anymore because I loved seeing the likes of giselle adriana Lima , Naomi etc I don’t want to see everyday folk

    「かっこいいショーだったのに。私は超スリムじゃないけど、ショーを見ていて特に反感は抱かなかった」

    「私は明らかにあのサイズでははないけど、綺麗なモデルを見るのは大好きだったな」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。