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フロリダ銃乱射事件 肖像写真が伝える「1年後の物語」

「私たちはただ音楽を楽しんでいただけ」

フロリダ州オーランドのナイトクラブ「パルス(Pulse)」で起きた銃乱射事件から1年に当たる2017年6月12日、写真シリーズ「ディア・オーランド」が公開された。生存者や遺族、緊急対応者たちはこの写真シリーズで、あの夜に起きたこと、そしてそれが彼らの人生をどのように変えたのかについて語っている。

「彼は言った。もう行かなくちゃいけないんだ」

ディア・オーランドを制作したのは、被写体の体にメッセージを書き入れた力強い肖像写真で、個人の私的な物語を世界に伝えるグループ「ディア・ワールド」。彼らはボストンマラソン爆弾テロ事件の生存者たちを取り上げた作品でもよく知られている。

写真家デイモン・ガードナーによって撮影された白黒写真のそれぞれには、各人が語った逸話からの一文が添えられている。これら逸話の舞台は、事件現場となったパルスや、閉じられたドアの奥にある無数の病室、家族が知らせを待つ家など、さまざまだ。

「彼らが電話に出られればよかったのに、と思いました」

ディア・ワールドの創設者であるロバート・X・フォガティはBuzzFeed Newsに対して、こう語った。「今回のプロジェクトで被写体になってもらう人たちにカメラの前に立ってもらうまでには、およそ2時間に及ぶ1対1のインタビューが必要でした」

5月に4日間をかけて行われたインタビューについて、フォガティは、「泣くこともあれば、笑うこともありました」と語る。「一人ひとりが、起き上がって足を前に踏み出し、命の尊さを噛みしめているいまの毎日について語ってくれました。決まり文句ではなく、自分の言葉で」

「彼の部屋に言ったけれど、彼はそこにいなかった」

フォガティは、被写体の体に書かれた言葉を、「彼らにしか伝えられない物語のリード文」と呼ぶ。これらのメッセージは、彼らの私的な物語を深く知るための招待状の役目を果たしていると同氏は説明する。

「わたしたちが一緒に食べた最後の食事は、ターキーネックと米とキャベツ」

「このような事件が自分の身にふりかかってこないとき、私たちは皆、畏敬の念を抱く傍観者になります」とフォガティは語る。「これに対して当事者となった人々は、自分ではどうすることもできない、望んでもいない物語の登場人物になってしまうのです」

「こんにちはのキスはしたけど、さよならのキスはしていない」

「OK、4分で行く」

「息子は、バットマンでも、スーパーマンでも、ハルクでもなく、パパが好きと言ってくれた」

「私たちはただ音楽を楽しんでいただけ」

フォガティの願いは、これ以上にない最悪の状況での強さや立ち直る力について教えてくれる彼らの物語が、読んだあともいつまでも人々の心に残ってくれることだ。「人間が持っている適応力や成長力、克服力は本当に素晴らしいものです」

これら肖像写真の背景にある物語を知りたい方は、こちらからどうぞ。

この記事は英語から翻訳されました。翻訳:阪本博希/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan