増える子どもの移民。アメリカ・メキシコ国境近くの施設の過密状態が問題に

    ソーシャルディスタンスの確保もままならない状況で、合法的な拘束期間を超えて収容されている子どもたちの様子が明らかになった。バイデン政権は保健福祉省の管轄を増やし、国境警備局の過密状態を部分的に緩和しようと試みている。

    アメリカ・バイデン政権は、メキシコとの国境周辺での不法移民の急増問題に直面している。特に昨今、国境を越えようとして拘束される子どもの数が増えている。

    テキサス州ドナにある米税関・国境警備局のテント施設内で撮影されたある写真が公表され、物議を醸している。

    保護者のいない移民の子どもたちが過密な環境で収容されている実態が明らかになった。

    写真を撮影したのは、テキサス州の民主党議員ヘンリー・クエラー氏だ。ニュースサイトAxiosが最初に報道した。

    写真からは、現在4900人弱の子どもたちが収容されている国境警備局の施設内の状況を垣間見ることができる。

    過密の問題は、国境にやって来る保護者のいない子どもたちの数の増加と、十分な寝場所を確保できない米税関・国境警備局が、米国保健福祉省に子どもたちを移送できないことに起因している。

    保健福祉省は、シェルターまたは緊急の移民流入施設に何千人もの子どもたちを収容してきた。

    BuzzFeed Newsが確認した政府のデータによると、3月21日時点で国境警備局の施設に収容されている子供は4900人弱。保健福祉省の保護下では(大人も含む移民の)人数が1万1000人以上に増え続けている。

    データによると、国境警備局から保健福祉省の管理に移った人の数は増加し、1日で600人近くが保健福祉省に移送されたようだ。

    バイデン政権は、保健福祉省での管理への移行を増やすことにより、国境警備局での管理における過密状態を部分的に緩和しようと試みている。

    政府が合法的に移民を国境施設に収容できる時間は72時間だ。しかし、国境警備局の施設に収容されている子どもたちの多くは、その期限を超えて過密状態での生活を余儀なくされている。

    テキサス州ドナのテント施設で一部の子どもたちと話した弁護士によると、何人かはシャワーを浴びたり家族に電話をかけたりすることもできない過密な状況の中で、8日間も収容されていると明かしたという。

    また弁護士が話したすべての子どもたちは、法の下で国境警備局での収容を認められている3日間の制限を超え、少なくとも5日間は国境警備局の施設に収容されていた。

    BuzzFeed Newsは国境警備局にコメントを求めたが、返答は来ていない。

    「私は最初から、国境警備局の施設に子どもたちを収容するべきではないと繰り返し言ってきました。そのため私たちは昼夜を問わず、国境警備局の施設から保健福祉省の保護下に子供たちを移送させています」とアレハンドロ・マヨルカス国土安全保障長官は3月21日、CNNに語っている

    2019年、国境警備局施設の訪問調査で、子どもたちは汚く過密で、そして不衛生な環境に置かれているとが明らかになった。

    テキサス州クリントの国境警備局の施設を訪れた弁護士は、乳幼児の世話をしている子どもたちがいたり、石鹸や歯ブラシなどを利用できない状況、そして食料、水、衛生用品が不十分なことを説明した。

    バイデン政権の高官は、保健福祉省は急ピッチで避難所のスペースを増やしているが、それには数カ月を要し、現在の状況の解決策にはならないと話している。

    代わりに当局は、子どもたちを国境警備局の管理下からより早く移送するために、ダラスのコンベンションセンターやテキサス州ペコスの別の施設などへの緊急移送を検討している。

    今年2月には、9400人以上の保護者のいない移民の子どもたちが国境警備局の施設に収容されていた。

    トランプ政権は、「タイトル42」と呼ばれる公衆衛生法を適用し、未成年者の移民を追放する対策を開始した。

    しかし11月、米連邦裁判所により、トランプ政権はこの対策の継続を阻止された。控訴裁判所は1月下旬にこの裁判所の命令を解除したが、それまでにバイデン 新政権が発足。バイデン大統領は保護者のいない移民の子どもたちを追放する対策を、継続しないと決定したのだった。

    しかしバイデン政権は、トランプ政権と同じ公衆衛生法を適用し、国境警備局で遭遇した一部の移民の家族と成人を追放し続けている。

    一度は裁判所が歯止めをかけたものの、トランプ政権時代から、政府は安全とは言えないメキシコ国境の街や、逃げだしてきた元の環境に子どもたちを送り返しているのが現状だ。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。