災害時、Facebookでできる「安否確認」。生みの親は、日本人の大学生だった

    「災害支援ハブ(旧災害時情報センター)」は、災害時に安否確認の通知がFacebookから届き、それに解答することで自分の無事を友人に伝えられる機能だ。合わせて、被災地にいるFacebookフレンドの安否情報を一覧で確認できる。この機能は、2011年当時、男子大学生だったAさんがプロトタイプを作った。

    地震や洪水にみまわれたとき、Facebookを開くといいだろう。家族や友人の安否確認ができる機能があるからだ。

    「災害支援ハブ(旧災害時情報センター)」は、災害時に安否確認の通知がFacebookから届き、それに解答することで自分の無事を友人に伝えられる機能だ。合わせて、被災地にいるFacebookフレンドの安否情報を一覧で確認できる。

    この機能は、2011年当時、男子大学生だったAさんがプロトタイプを作った。社会基盤となりつつあるSNSの大きな一歩となった「災害支援ハブ」はどうやって生まれたのか。

    友だちの安否を確認したかった

    2011年、3月11日。アメリカの大学に通っていたAさんの元に衝撃的なニュースが飛び込んできた。東日本大震災だ。両親は勿論、高校の同級生たちは日本にいる。遠く離れていても、他人事ではなかった。

    在学中にFacebook社でインターンをしていたAさんは「コードを書く人間として何かできないか」と思ったと話す。

    「Facebookを眺めていたら、自分の無事を報告する投稿をいくつか見つけて、こういうSNSの使い方は大切だと思ったんです」

    「同時にFacebookで繋がっている知り合いや友だちの状況が一気にわかるような機能があったらいいのに……と思いまして。Facebookには誰もが開発できるデベロッパープラットフォームがあるんですけれど、それを使って簡単なプロトタイプを作って公開しました」

    自分の無事をSNSに投稿し、そして友人の安否も一覧で確認できる。緊急時のニーズに応えた災害支援ハブのプロトタイプは、シンプルな機能ながら評判になった。

    CEOであるマーク・ザッカーバーグの耳にもこの評判は届く。

    Facebook社では毎週金曜日に全社員が参加できるCEOへの公開質問イベント「Q&A with Mark」を開催しており、そこでもそのプロトタイプを製品化しないのかと、話題にのぼったという。

    インターンをしていたとはいえ、当時Aさんはまだ大学生。プロトタイプは先輩エンジニアの手によってアップデートされ、2012年に日本でテスト公開、2014年にグローバルで正式リリースされた。

    今回、匿名での取材になった背景には「ひとつのアプリができるまで自分以外の多くの人たちが関わっているので、エンジニアとして1人だけがフォーカスされるのはちょっと違うと思った」との想いがある。

    「Facebook社はとてもフラット。ベテランでも入社したてでも、エンジニアでもデザイナーでも、誰もが自分の意見を言える環境がありますね。意見の価値以外は関係ない」

    こうして今日も多くの人たちを救う機能は誕生した。正式リリースされてから5年、今では機能がより充実し、輸送手段、食料、生活必需品等の支援・サポートを見つけることができるようになっている。