人気YouTuberアバンティーズ、逝去したエイジさんについての動画を投稿「大好きな4人で前に進みたい」

    3月には地元・埼玉でのファンイベントを開催する。

    1月1日に休暇旅行先のサイパンで亡くなったYouTuber「アバンティーズ」のエイジさん追悼動画を、同グループメンバーが投稿した。

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    「アバンティーズのすべて」と題されたこの動画は、他界したエイジさんがフラフープを回すカットから始まり、ツリメさん、リクヲさん、そらちぃさんの3名がエイジさんへの思い出を語る。

    「あいつのことだったらめちゃめちゃしゃべれんちゃう?」

    リーダーのそらちぃさんはそう語る。

    保育園、小学校、中学校でエイジさんに出会った各メンバー。中学時代にサッカー部の友人たちと一緒にYouTubeに動画を投稿するのがはじまりだった。

    10数人いたメンバーは次第に減り、高校卒業の際に今の4人になった。埼玉からエイジさんの住む東十条の家に集まり、動画制作に明け暮れた。

    「東十条に移ってから今までの記憶が一番あるかな。明確にYouTubeをやりたいって芽生えた瞬間だし、頑張ろうって4人で一丸になった瞬間でもあった。毎日毎日が記憶に残っている」(そらちぃさん)

    当時は大学や専門学校、働いているメンバーもいた。みんながそれぞれ「いつかYouTubeで食べていければ」と同じ夢を持っていた。

    東十条、池袋、渋谷、恵比寿……いろんな場所で一緒に過ごした。エイジさんは海鮮類が苦手なのに、無理をして渋谷のすしざんまいで食事をしていた。焼き肉も大好き。ねぎし、平城苑、赤から亭……よく食べてよく飲んだ。

    「めちゃめちゃ才能がある人だったから。近くにいる分、輝きが眩しくて羨ましかったからぶつかった部分もあると思うし、こいつは絶対超えられないなって思っちゃった存在。俺にないものをめちゃめちゃ持ってるって思ってた、ずっと」(そらちぃさん)

    こんな背景もあり、そらちぃさんとエイジさんは衝突することもあった。2人がTwitter上で言い争いをしていても、アバンティーズはいつも仲直りする。

    お酒を飲めるようになって、腹をわって話す機会も増えた。知らず知らずのうちに、大人になっていたのかもしれない。飲み会のあと、タクシーの中でアバンティーズの未来を話すのも好きだった。

    「10何年もいるのってなかなか考えられない。周りを見ていると喧嘩とかで離れちゃったりしている人も見かけるし、その中で長い期間いるのって普通じゃないっていうか……奇跡」(ツリメさん)

    1月1日のこと

    大晦日、日本で過ごしていたツリメさんのもとにサイパンにいるエイジさんから電話がかかってきた。「日本でね、バイバイ」と言われた。

    翌日、エイジさんは浅瀬で高波にさらわれ、懸命な救出活動が行われたが、搬送先の病院で死亡が確認された。

    そらちぃさんからツリメさんのもとに事故の連絡が来たのは、1月1日の午後1時頃だった。アバンティーズを代表してエイジさんの実家に向かう。その道中でエイジさんが息を引き取ったことを知った。電話の向こうではみんなの泣き声が聞こえていた。

    幼い頃からずっと一緒に過ごしていたエイジさんの逝去は、一緒にサイパンへ行っていたリクヲさんにとっても現実味がわかないことだった。

    実感したのはつい最近。面白いことがあったとき、何気なく「エイちゃんに言おう」と思う。その瞬間、仲間がいなくなったことをリアルに感じる。数日前まで冗談を言い合っていた「エイちゃん」はもういないのだ。

    1月1日のあとに

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    アバンティーズとして活動を続けていくのは無理だと思うメンバーもいた。アバンティーズは一人ひとりがみんなの足りないところを補う4人。3人になることは想像できなかったからだ。

    地元の友達、家族、YouTuberの仲間、視聴者……いろんな人に支えられた。「アバンティーズを続けなよ」。こんな声が嬉しかった。むろん、同時に自分たちを囲ってくれる人の輪に「エイちゃんがいない」悲しみもあった。

    それでも、彼らは活動を続けることに決めた。何のため? エイジさんのためだ。

    「エイちゃんが一番好きだったものってなんだろう?って考えたときに、このYouTubeだし、この4人だし、それを絶対なくしたくないって思った。これをなくさせたらエイちゃんが一番悲しむって思った」

    「1月は死ぬほど悲しかったし、多分この先も事あるごとに悲しさってつきまとうと思う、一生。でも、あいつのために立ち止まらないっていう決意がある。今」(そらちぃさん)

    こうしてアバンティーズは活動を継続することを決めた。活動を続けることがエイジさんへの一番の恩返しになると思うようになったからだ。

    「 俺らがもっともっと大きくなって、もっともっとデカいことやって、いろんな素晴らしい作品作って、あいつを伝説にしてやりたい」

    「やっぱ何より中学校の頃から大好きだったアバンティーズを消したくない。大好きな4人で前に進みたい……です」(そらちぃさん)

    事故から1ヶ月半が過ぎ、次第に展望も見えてきた。事故の経緯を説明する際は、表情が硬かった彼らも少しずつ元気になってきたと話す。

    「1月の一番最初、辛いなって思った瞬間と今一周回って辛いなって思う瞬間。その違いって何なんだろう?って思ったんだけど。一ヶ月死ぬほどエイちゃんのこと考えてみた結果、あのとき流した涙って悲しみの涙ですごい冷たい涙。今は感謝とかあいつとの思い出に対する温かい涙が流れてくる。今泣いたとしたら、涙は温かい気がする。嘘偽りなくそんな気持ちでいっぱいかな」

    「意外と前向きだから、心配しないでほしいな、みんなには。前しか向いてないから」

    夜通しずっと話していたのだろう、窓の外は朝になっていた。

    少し長い動画というYouTubeは1時間8分の長さで終わる。