8月中旬、アメリカ・インディアナ州にあるパデュー大学の学生新聞「Purdue Exponent」がキャンパスに臨時で設置された寮の写真を公開した。それに対し、ネット上で大きな反響と懸念の声が寄せられている。
写真には、オフィスのような大きなスペースを一般的な寮の家具で仕切ったものが映されている。
多くのアメリカの大学では、キャンパス内に学生寮が作られていて、大学生活を送ることができる。特に新入生は1年間、寮生活を送ることが多い。
パデュー大学は、入学者が多すぎた場合には、大学がいうところの「臨時用の寮」や「補助的な住居」を新たに作る。しかし、今年は臨時の寮に想定の5倍の学生を迎えることになったとパデュー大学の学生生活担当課副課長、ベス・マックスキー氏はBuzzFeed Newsに伝えた。
「毎年、私たちは臨時スペースを用意し、通常は100スペース程度が使われます」とマックスキー氏は話す。
キャンパス内に住みたい人は多いが、毎年何人かの学生は、パデュー大学に入学すると言っておきながら、実際には来ないと話す。
キャンパスに住みたい大人数の、しかし人数が確定できない希望者に対応するために、大学は正式な住居が利用できるようになるまで、臨時のスペースを提供している。
大きなシェアスペースを使用する学生は、優先的に正式な寮に移る権利を持つ。
マックスキー氏によると、これらの学生は「最初の数週間で」住居を移動するという。
その他の、もう少しルームメイトの人数が少ない部屋に住む学生は、学期のほとんどをそこで過ごす可能性もある。しかしすべての学生が、キャンパス外のアパートや複合住宅にいつでも引っ越す自由があるとマックスキー氏は説明する。
しかしパデュー大学は今年、想定よりも500人以上も多い入学者を臨時の寮に迎えることになった。「今年はパデューへの入学者が私たちの通常の予測を超えていました」とマックスキー氏。
「Purdue Exponent」によって公開された当座しのぎの寮自体は、現在は使われていないが、同様の住居に現在でも学生が住んでいると大学が明らかにした。
パデュー大学卒業生のダニエル・レンダー氏(24)らがネット上でこの臨時の寮の写真をシェアし、学生を受け入れすぎることに対する疑問を呈した。
レンダー氏は工学部を2017年に卒業した。在校期間中にも住まいに関して「どんどん問題が大きくなっている」と感じていたとBuzzFeed Newsに話す。
そして、その臨時寮は「今までで見たうちで最悪なものの一つ」だと話した。
「学生を受け入れすぎることは問題です。実際、ベッドの数よりも多い学生を受け入れてしまっているんです」とレンダー氏。
これはパデュー大学だけの問題ではなく、臨時の住まいはアメリカの多くの大学で当たり前になっている。しかし、それでもこの状況を正当化することはできないと、レンダー氏は感じている。
「大学はどこもかしこも、学生生活の質の向上より利益を重視する傾向にあるようです」とレンダー氏は言い添える。多くの人が、同様の懸念を示している。
ある人たちは、女囚人との刑務所での生活を描いたテレビシリーズ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』のセットに似ているとジョークを言った。
「ディストピアの光景」と呼ぶ人も。
マックスキー氏は「ほとんどの『臨時住居』は窓があって、鍵も閉められ、消防署の認可を受けています」と話す。
「Purdue Exponent」によって撮影されたこれらの写真は、提供しているその他の臨時の寮の実際の姿を反映していないと主張した。そこでBuzzFeed Newsは別の臨時の寮の写真を見せてくれるように依頼した。
しかし、「学生たちは現在オリエンテーションに参加しており、彼らのスペースの写真を撮らせてもらえるかどうか、まだ確認ができていません。写真が撮れるようにやってみます」というのが学校側の回答だった。
マックスキー氏はまた、学校側が「8人〜10人部屋に関しては非常に安い料金」を請求していると確認した。途中で退寮しても、そこに住み続けることにしても、1学期(パデュー大学は2学期制)で1200ドルだ。
パデュー大学のホームページによると、通常の寮費は食事を含め、2学期で1万30ドルだとある。
学生が正規の寮に引っ越すことになった場合は、大学側はその学期の費用について、臨時寮に住んだ分だけ費用を減額して請求するとしている。
マックスキー氏は、毎年学生からスペースについての苦情が学校に寄せられる一方で、そこに住んでいる学生が「この場所を誇りに思う」と話すのも聞いているという。
「もちろん理想的な状況ではありませんが、この臨時寮のスタイルはありふれたものです」とマックスキー氏は話す。「人々は寮にくるのをやめるんです。キャンパス内に住む機会を他の人に譲りたくなるのでしょう」
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:フェリックス清香 / 編集:BuzzFeed Japan