公金を使った芸術祭は今後どうなる?あいちトリエンナーレ、委員会設置で検証へ

    企画展「表現の不自由展・その後」が中止された「あいちトリエンナーレ」で、今後のあり方を考えるために検証委員会を設置すると大村知事が発表しました。

    企画展「表現の不自由展・その後」が、テロ予告や脅迫を含む抗議により中止となった「あいちトリエンナーレ」で、今後の芸術祭のあり方などを考えるため、検証委員会が設置される。

    愛知県の大村秀章・愛知県知事が自身のツイッターで発表した。初会合は8月16日に行われ、委員会は国立国際美術館館長ら有識者6人で構成される。

    期間は11月末までで、公金を使った芸術作品の展示や危機管理体制のあり方などについて、今後の芸術祭に向けて提言することを目指すという。

    ④愛知県では、2010年から3年ごとに開催されている国内最大規模の国際芸術祭である「あいちトリエンナーレ」について、そのあり方等を総合的に検証するため、「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」を開催することとし、初会合を、8月16日(金)午後2時から、愛知県庁講堂で開催します。

    @ohmura_hideaki

    知事のツイートによると、検証委員会の座長には国立国際美術館長の山梨俊夫氏が、副座長には慶應義塾大学総合政策学部教授の上山信一氏が選出されたという。

    他に委員会を構成する有識者は、アグロスパシア株式会社取締役・編集長の岩淵潤子氏、文化政策研究者で国立美術館理事の太下義之氏、信州大学人文学部教授の金井直氏、京都大学大学院法学研究科教授の曽我部真裕氏。

    検証委員会では、「表現の不自由展・その後」に関し、企画・準備段階からの経過を整理し、情報公開を行う。関係者へのヒアリングなどを通じ、トリエンナーレ実行委員会や県庁など関係団体でのイベント企画・実行の中での課題を抽出するという。

    今後のあいちトリエンナーレや、類似のイベントの開催に向け、有識者からの意見やヒアリングから、解決策が県に対して提案される方針だ。

    公金を使った芸術作品展示のあり方

    今回の「表現の不自由展」ではその内容が議論を呼び、補助金や公的資金を使って展示が企画されていたことに抗議が集まった。

    こうしたことを踏まえ、「公金を使った芸術作品の展示のあり方、あるいは芸術活動への公金を使った支援のあり方」も検証されるという。

    8月1日に開幕したあいちトリエンナーレの企画展「表現の不自由展・その後」は、開幕からたったの3日で中止となった。

    同展示は、これまでに公的な美術館などに展示され、抗議などを理由に撤去された作品ばかりを集めており、平和の少女像や、昭和天皇とみられる写真を燃やす作品なども展示され、抗議が殺到していた。

    知事宛てには8月2日朝、「ガソリン携行缶をもってお邪魔します」というFAXが届いたり、他にもテロ予告や脅迫の抗議の電話やメールも1日に計700件も殺到していた。

    8月3日午後には大村知事が、同展の中心を発表する会見を開き、「諸般の状況とも総合的に判断した。お客様にあいちトリエンナーレを安心、安全に楽しんでいただきたいため」と説明していた。

    一方で知事は、「行政が展覧会の中身についてコミットしてしまうということは変えなければならない。芸術祭自体が変わってしまう」と話し、あくまで中止は安全上の問題であったと強調。行政が芸術祭などの展示内容について指摘や要求をすることに対しては反対の姿勢を取っていた。

    愛知県警東署は8月7日、知事あてにFAXを送った50代の男を威力業務妨害容疑で逮捕。また、同日午後には、あいちトリエンナーレ会場のエレベーター内で「ガソリンだ」などと言い警察官にバケツに入った液体をかけた疑いの男が公務執行妨害の疑いで逮捕されている。

    (サムネイル:時事通信)