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「すべての人は平等だから、選択肢の保障を」同性婚を認める法案を野党3党が共同提出

「すでに多様な家族がいます」同性同士で結婚できることを法律に明記すべきとして、立憲民主、共産、社民の野党3党が衆議院に改正法案を提出しました。

同性同士で結婚できることを法律に明記するべきだとして、民法を改正する法案(婚姻平等法案)を、立憲民主、共産、社民の野党3党が6月3日、衆議院に提出した。

提出した3党によると、同性婚を認める法案の国会提出は、今回が初めて。

同性愛者であることを公表している尾辻かな子衆院議員(立民)は、「すべての人は平等だから、選択肢を保障しようということで、法案を作りました」と話した。

法案では、民法の「婚姻」の章に「異性又は同性の当事者間で婚姻が成立する」ことを明記する。これにより、異性間だけでなく同性間でも、結婚を可能にする。

また、現状では、同性カップルは法律上の婚姻ができないため、特別養子縁組の養親になることができないが、「同性婚の当事者も、特別養子縁組やその他の養子縁組ができるよう所要の規定を整備する」としている。

さらに、同性カップルが便宜的に養子縁組をして一緒に暮らしているケースがあるため、施行日から2年以内に限り養子縁組を解消し、改めて婚姻することができるという特例措置も設けている。

「夫婦」という呼び方も変える

さらに同性婚を認めることに伴い、「夫婦」「夫」「妻」→「婚姻の当事者」、「父母」「父」「母」→「親」など、法律上の文言を性中立的なものに改正する、としている。

憲法24条は、「婚姻は両性の合意のみに基いて成立」すると定めている。

立憲民主党は、これ父や兄など家族の意向が優先された戦前の制度を改め、婚姻を本人の自由意思に解放する趣旨の条文だとしたうえで、「同性婚について禁止する規範ではないと考える」と表明。そのうえで「法的整備をすることは、立法府としての責務」として、法案提出を目指していた。

法案の提出にあたり尾辻さんはBuzzFeed Newsに対し「日本で同性婚ができないのは著しく不平等。現に多様な家族いて、当事者からの声も上がってきている。今までなかったほうが不思議です」と話している。

約8割が同性婚に賛成

電通ダイバーシティ・ラボが1月、全国約6万人(20〜59歳)を対象に、LGBTを含む性的マイノリティについて調べた「LGBT調査2018」の結果によると、同性婚の合法化については全体の78.4%が賛成の立場だった。

尾辻さんはこうした世論調査も、法案提出の後押しになった、と話す。

「すでに多様な家族がおり、その人たちが家族の枠外におかれていたことが問題です。家族の範囲を広げることによって、いま異性婚をしている人たちに何らデメリットがあるわけではありません」

「新聞などの世論調査でも同性婚に賛成という人の方が多い。世論に制度がおいついていないというのが現状です」

ただ、政府は憲法24条の解釈を「同性婚の成立を認めることは想定されていない」とし、「同性婚を認めるべきか否かは、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要するものだ」との答弁を続けており、この法案の審議入りも難航が予想される。

「多くの当事者が望んでいる法案なので、ぜひとも審議をしてほしいです」(尾辻さん)

同性婚をめぐっては、同性同士の結婚を認めないのは憲法が保証する「婚姻の自由」や「法の下の平等」に反しているとして、全国13組の同性カップルが、国に損害賠償を求めて裁判を起こしている

また台湾の立法院(国会)は5月17日、アジアで初めて、同性カップルが結婚する権利を保障する法案を採択した

改正法案提出後に開いた会見で西村智奈美議員(立民)は以下のように述べた。

「一人一人の人権が当たり前に尊重され、多様性が認められる社会を目指しています。同性間で婚姻ができないということは支障。誰でも生きやすい多様性のある社会を作っていきたい」

「皆さんの目には届いていないかもしれないが、生きづらさを抱えている(当事者の)人はたくさんいらっしゃいます。この法律が成立することで社会が大きく変わっていくのではないかと思います」

自身のセクシュアリティを公表している尾辻さんは「当事者の1人として改正法案の提出者のメンバーの1人となったことを嬉しく思います」と話した。

また「多くの当事者にとって、自分が(セクシュアル・マイノリティの)当事者であると気づくときは苦しく、受け入れるのにすごく時間がかかります。それは社会が認められていないから。『この社会でも生きていていいんだ』と思えるようになるようにしたい」と涙ぐみながら、日本で同性婚を成立させる必要性を訴えた。