東南アジアのブルネイで、4月3日から厳格なイスラム法解釈に基づき、同性愛や不倫に対して石打ちによる死刑が科せられるようになった。これに対し、俳優のジョージ・クルーニーさんや歌手のエルトン・ジョンさんらが、抗議の声を上げている。
「同性愛者であることや不倫をしたことで自国民を石打ちの死刑にするような男のポケットに、金を入れることになる」と、ブルネイ国王が所有するホテルなどのボイコットを呼びかけている。
「私たちはこのような人権侵害を助けるために代金を払うのか?無実な人々を殺害する者に金を投じるのか?」
ジョージ・クルーニーさんは、米オンライン芸能メディア「デッドライン・ハリウッド」に寄稿して訴えた。米国、英国、フランス、イタリアにある9つのホテルのボイコットを呼びかけた。いずれもブルネイの国有企業による運営だという。
AFP通信によると、同性愛などに対する死刑は、イスラム法の厳格な解釈を取り採用されたが、強い批判を受けて4年間にわたり保留となっていた。だが、ついに施行されることになったという。
ブルネイではこれまでも同性愛は違法だったが、これからはイスラム教徒に関しては、死刑となる。同国では、国民の大多数はイスラム教徒だ。
なお、イスラム教が同性愛を否定しているため、イスラム圏各国では同性愛を違法とする国が多い。イランやサウジアラビアでは、死刑もあり得る。
「愛は愛であり、選んだ人を愛せることは基本的人権」
カナダ人映画製作者デイビッド・ファーニッシュさんと同性婚しているジョンさんはTwitterで、以下のように述べた。
「私は(いかなる形でも)愛は愛で、自身が選んだ人を愛せることは基本的人権だと信じています。私と夫デイビッドは、どこに行こうとも尊敬と尊厳を持って接されるに値するし、それは世界中の数百万人のLGBTQ+の人々も同じです」
「このような刑は許容できるものでないというメッセージを、私たちはいかなる方法でも発信しなければなりません。だから私と夫は長い間、これらのホテルに宿泊することを拒否していて、今後もそうします。
あなたも私たちの団結に参加してくれることを願っています」
また国際人権団体ヒューマンライツウォッチは、新刑法に抗議する声明を発表、刑法の撤回を訴えている。
その中で同団体アジア局長代理のフィル・ロバートソンさんは「ブルネイの新刑法は本当に残酷で、本来全く罪とみなされるべきでない行為に対して時代遅れすぎる刑罰を下すもの」と批判した。
新刑法については、国連人権高等弁務官事務所やフランス外務省、米国務省が声明で撤回を求めており、国際的な批判が高まっている。
(サムネイル:時事通信、Getty images)