24時間営業を続けるコンビニエンスストアで、人手不足や従業員の過労が深刻化している。全国のコンビニ店舗のオーナーらが組織する組合「コンビニ加盟店ユニオン」が3月6日、東京都内で会見した。
同ユニオン執行委員長で、兵庫県姫路市でセブンイレブンの店舗を経営する酒井孝典さんは「もう明日だめじゃないかというレベルで、精神、肉体、経済的に限界に達している」と、現状の厳しさを訴えた。
本部に団交を申し入れ
加盟店ユニオンはまた、セブンイレブン・ジャパン(東京都千代田区)に対して営業時間の短縮や労働環境の見直しなどを求め、団体交渉を申し入れたことを明らかにした。
ユニオンによると、セブンイレブン本部は申し入れに対し、「ユニオンを『労組』とは認めていないため、要望としては受け取るが、それに対する解答は出せない」と返答したという。
加盟店ユニオンは、コンビニ店のオーナーらが集まった組織で、各地のセブンイレブン、ファミリーマートのオーナーら約100人が加盟している。
「オーナーといえど、実質的には労働者にすぎない」として、本部に労組として認めるよう求めている。一方で各コンビニの本部側は、オーナーらは労働者ではなく、「経営者」という立場だ。
このため、フランチャイズチェーン(FC)の加盟者(=コンビニのオーナー)を労働者と認めるかどうかを巡り、中央労働委員会で審査が続いている。
問題の背景には24時間営業の限界
コンビニのFC加盟店では、オーナー夫妻を中心とした家族とアルバイトが労働力の中心だが、深夜に勤務するアルバイトを集めるのが難しい。
ユニオンによると、オーナーが長時間労働を続け、なんとか回しているのが現状だという。
店舗を一緒に経営をしていた妻が死亡し、オーナーが連日16時間を超える勤務となったセブンイレブン東大阪南上小阪店では2月、深夜5時間を閉店する短縮営業を始めた。
ユニオンによると、加盟店の24時間営業を基本としているセブンイレブン本部は、契約の解除と違約金1700万円を請求する、と同店に通達したという。
3月6日の会見に出席した武蔵大学の土屋直樹教授(労使関係論)は「直営店だけが対象だと、深夜営業をやめると損という結論になりかねない。加盟店のも含めて調査するというのはよかった」と評価した。
ユニオンの酒井委員長は「社会インフラとして機能するコンビニだが、このままの労働環境では経営が続かない。コンビニがなくなれば市民が困る。継続可能な形を探していくべきだ」と語った。