カーダシアンさんがKimono騒動で反論。「日本文化における着物の重要性は理解」

    米国人セレブリティのキム・カーダシアンが発表した下着ブランド「Kimono」の名前について批判が集まっており、カーダシアン氏が声明で反論しました。

    米国人セレブリティのキム・カーダシアンさんが25日(米国現地時間)に「Kimono」という名前の下着ブランドを発表し波紋を呼んでいる件で、カーダシアンさんは「伝統衣装である着物に対して不名誉をもたらすものを発表するつもりはない」とし、ブランド名を継続する姿勢を示した。

    Kimono Solutionwear™. Coming Soon. https://t.co/s8DZ09pKxp. #KimonoBody Photo by Vanessa Beecroft

    @kimonobody

    アカウント名「KIMONO」、ユーザー名 @kimonobodyで取得された下着ブランドの公式twitterアカウント

    米紙ニューヨーク・タイムズの報道によると、カーダシアンさんは同紙宛ての声明で「私は日本文化における着物の重要性を理解し、深い尊敬の念を持っています」と日本文化への理解を強調した。

    また「伝統衣装である着物に不名誉をもたらしたり、類似するものをデザイン・発表するつもりはないです」とし、なお、Kimonoというブランド名を変えるつもりはないという姿勢を示したという。

    ブランドについて「私の補正下着ブランドの根本には、多様性と包括性があり、これから発表されるものに本当に誇りを持っています」と、今後もKimonoで新作下着を発表し続けるとした。

    商標登録の出願に関してはこのように説明している。

    「商標登録の出願は、私の補正下着などに(キモノという)言葉を使える様にするためのもので、誰かが着物を作ったり、伝統衣装である着物という言葉を使ったりすることを制限するものではありません」

    ブランドKimonoの発表後、カーダシアンさんへの批判は強まるばかりで、カーダシアンさんのTwitterやインスタグラムの投稿には”Change the name”(名前を変えろ)とのコメントが相次いでいる。

    改名を要請し世界から2万筆の署名

    署名サイトchange.orgでも、カーダシアンさんにブランド名を変えるよう要請する署名が始まり、28日現在で各国から2万筆以上が集まっている。署名は日本語と英語、フランス語の3カ国語で行われている。

    Kim Kardashian Westによる「KIMONO」の商標登録へ反対の声をあげる署名キャンペーン「Say No to Kim Kardashian's "KIMONO"」が立ち上がりました。 #KimOhNo 署名ページはこちらから。 https://t.co/7Cn0n3IYWA

    @change_jp

    署名の発起人はKimonoというブランド名について「日本の伝統衣装である『着物』を想起させることに加え、商標登録の申請を行っているのは我々の誇る文化である着物へのリスペクトに欠けるネーミングと言わざるを得ません」と批判。

    「黙っているのではなく、まずは少なくともどれだけの人が反対しているのか、数として見せるところから始めましょう」と呼びかけている。

    署名した人が書き込める意見欄には「これは明らかに日本文化の盗用・私的使用です」「伝統ある概念の塗り替えはやめてほしい」との意見が寄せられた。

    #KimOhNo

    Twitter上でブランド発表直後から始まった「#KimOhNo」(キム、オー、ノー)というハッシュタグは、「Kimono」とカーダシアンさんのキムという名前や落胆の心情を掛けており、ブランド名を変えるよう呼びかけるハッシュタグになっている。

    ユーザーが日本の着物や、自分が着物を着た写真を掲載、「これが本物の着物です」というメッセージを送っている。ブランドKimonoをめぐる一連の報道では、このハッシュタグがBBCUSA TODAYにも取り上げられている。

    Twitterでの反対を表す投稿では、個人だけでなく、イギリスのビクトリア&アルバート博物館も着物の写真と共に#KimOhNoのハッシュタグでツイートしている。

    #Kimono became the principal item of dress for all classes and sexes in Japan from the 16th c. and is still a symbol of Japanese culture. Discover real kimono here at the V&A: https://t.co/uq0TnFHdLh #KimOhNo

    @V_and_A

    「着物とは16世紀から日本で全ての階層や性別の人々に着られてきた重要なもので、現在も日本文化の象徴といえます。本当の着物についてビクトリア&アルバート博物館のサイトで学んでください。#KimOhNo 」

    カーダシアンさんは25日にツイートやインスタグラム投稿で新ブランド発表をした以降、ブランド名への批判に対して反論してこなかった。

    「文化の盗用」とは

    今回、カーダシアンさんは日本の伝統文化である着物を、着物とは全く関係のない下着のブランド名につけ、「文化の盗用」との批判を浴びた。

    「文化の盗用」とは、本人の出身や所属とは違う国・地域の文化や伝統を、自己流に利用したり、盗用したりすることを意味する。

    特に影響力の強い人物やブランドなどが、主にファッションなどの分野で、その伝統の元来の意味合いを無視したり、他の伝統文化と混合したりして商業目的に利用することで頻繁に批判を浴びている。

    一方で、文化の盗用という概念は白黒はっきりと判断できるものではなく、複雑な問題でもある。

    カーダシアンさんの件では、着物という名前を使っているが、主に米国で「文化の盗用」だと批判を受けるのは、著名人のファッションだ。

    写真左側はモデルのカーリー・クロスさん。有名下着ブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」が2012年に開いたショーでファッションが文化の盗用だと批判された。

    クロスさんは、アメリカの先住民族であるネイティブアメリカンの伝統的な被り物を模したものを頭に着け、ネイティブアメリカンの伝統工芸品であるターコイズのアクセサリーを全身に身につけた。

    ヒョウ柄の下着にそのようなネイティブアメリカンの伝統装飾品を身につけランウェイを歩いたことで、結果、ビクトリアズ・シークレットとクロスさんは、ネイティブアメリカンや世間から強い批判を浴びた。

    2018年8月には、歌手のマドンナさんがニューヨークで開かれたイベントに、北アフリカの少数民族の伝統衣装を身につけて登場したことなどで、批判を浴びていた。

    ハロウィンなど身近にもある「文化の盗用」問題

    Halloween is almost here!! Come out tonight for our discussion on cultural appropriation vs. appreciation #BuryBSU

    @salisburry_bsu

    ハロウィンの衣装での文化盗用について議論しようと呼びかけるツイート

    著名人だけでなく、イベントやフェスティバルでのファッションや仮装も、議論の的となっている。米国を中心とする海外ではハロウィンのイベントでも、文化の盗用問題が頻繁に議論されている。

    ディズニー映画アラジンの登場人物ジャスミンを模した、インドの民族衣装サリー風のコスチューム、またはネイティブアメリカン風のコスチュームなどを身につけたり、顔を黒、または白く塗ったりすることが、文化の盗用の議論の対象となっている。

    ブランドKimonoに関しては、BuzzFeed Newsは、カーダシアンさんの事務所に対し「Kimonoという名前にした理由」や「それが文化の盗用になったり、議論になることを考えたか」などの点について問い合わせている。

    (サムネイル:ブランドKimonoのTwitterアカウント画面のスクリーンショット)