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「入管での長期収容は国家による監禁」難民申請者らが集団提訴

3年以上など入管への収容が長期化している難民申請者らが、集団提訴しました。品川や牛久の入管収容施設での長期収容、仮放免許可数の減少が問題となっています。

仮放免の不許可により入管に長期収容されている被収容者が原告となり、4月25日、処分の取り消しを求め国を相手取って集団提訴した。

この日、第1陣として東京地裁に提訴したのはスリランカ、ガーナ、イラン、ブラジルの4カ国出身の難民申請者ら計7人。近日中に大阪や福岡でも数人ずつ提訴する予定で、計10人以上になる見込みだ。

提訴後の会見で児玉晃一弁護士は「強制送還の日程が決まっていない被収容者の長期収容は、国家による犯罪であり監禁」と強く非難した。

児玉弁護士は会見で、集団提訴の理由をこう説明した。

「本来、入管への収容は強制送還するまでの間に必要最低限なされるもの。しかし原告らは、退去強制命令が出ているものの、退去スケジュールは誰も決まっていない」

「入管当局は長期収容するという姿勢を示しており、裁判の場で争っていく必要があると考えました」

東京入国管理局(東京都品川区)と東日本入国管理センター(茨城県牛久市)に長期収容されている原告の収容期間は、短くて11カ月、長くて3年7カ月にも上る。

原告7人のうち、大半は心臓の疾患や躁鬱病、糖尿病など健康問題を抱えており、健康状態の悪化を理由に仮放免を求めている。

「仮放免」とは、被収容者の収容を一定の条件のもとに停止することで、一方で就労や移動には一部制限が出る。

弁護団によると、2018年に牛久で仮放免が許可されたのは77件のみで、2017年の224件に比べると、三分の一に減少していることが分かる。

「原告のほとんどは健康問題を抱えており、状態が悪い人も多くいるために仮放免されてしかるべき。しかし、これは氷山の一角。集団提訴することにより、長期収容の現状を知ってほしい」と弁護団は指摘する。

特に難民申請者の置かれている状況について、駒井知会弁護士は「祖国で受けた迫害の傷が心にも体にも残り、苦しんでいる人が多くいる」と話した。

原告の1人で、不法残留などを理由に牛久に収容されているガーナ出身の難民申請者男性(40)は、前回の仮放免中に就労が許可されていなかったが、医療費や食費を稼ぐために就労したことを理由に再収容され、2年9カ月と収容が長期化している。

男性は眼病になり、手術が必要となったことから、手術代など医療費や生活費のために仮放免中に違法就労するに至った。

児玉弁護士はこう指摘する。

「私たちは刑事事件も担当するが、相当重い犯罪を犯さないと2年9カ月の実刑にはなりません。実質、入管の示した条件に反し、手術費用を稼ぐために働いてしまったことに対する『見せしめ』です」

ガーナ人男性は児玉弁護士に対し「犯罪を犯したなら納得がいくが、自分の治療や配偶者の生活を支えるために働いただけ。(長期収容は)納得できない」と語ったという。

男性は日本人女性と結婚していることや、収容期間が長期間になったことから仮放免を求めている。

健康状態が悪化した被収容者の仮放免を

【会長声明】入管収容施設で繰り返される被収容者の生命・健康の軽視や死亡事件に抗議し、適時適切な医療の提供及び仮放免の適切な運用を求める会長声明を発表しました。https://t.co/5N9nKkdgx3

@TobenMedia

東京弁護士会は4月18日、入管収容施設内で被収容者に対する適切な医療行為がなされていないことや、健康状態が悪化している被収容者の仮放免を求める会長声明を出した。

声明の中では「施設内の医師では対応できない事態においては、外部医療機関を受診させて治療を受けさせることが必要である」と主張し、長期収容についてもこう訴えた。

「健康状態が悪化して収容が相当でない被収容者について仮放免を適切に運用し、早期に身体拘束から解放するべきである」