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「私の体は私が決める」グッチが中絶禁止法にファッションで対抗

5月には米国・アラバマ州で「中絶禁止法」が成立。グッチが新作に、子宮の柄や中絶の選択の自由を訴えるスローガンをデザインし反対の声をあげている。

"MY BODY MY CHOICE"(私の体は私が決める)

ハイブランドGUCCIが5月28日、イタリアのローマで発表した新作のジャケットに大きくデザインした言葉だ。

他にも、子宮やフェミニスト・スローガンをデザインした新作を発表するなど、ランウェイでは女性の体や出産に関する選択・言論の自由、リプロダクティブ・ヘルス/ライツについて、ファッションを通してメッセージが届けられた。

これらをデザインしたのはデザイナーのアレッサンドロ・ミケーレ氏で、ローマのカピトリーノ美術館内のランウェイで発表された。

GUCCIの公式インスタグラムには、写真と共にこのような説明が載せられた。

「MY BODY MY CHOICE(私の体は私が決める)は1970年代のフェミニスト運動のスローガンです。この作品はGUCCIのクリエイティブ・ディレクターの自由と平等、自己表現に対するビジョンを反映しています」

「GUCCIは長期間にわたり、リプロダクティブ・ライツや母親の健康、個人の選択の自由などについて活動する団体に寄付をし、女性や少女に関する取り組みを行なっています」

A uterus is embroidered on a pleated long sleeve gown by #AlessandroMichele, moments before the #GucciCruise20 fashion show at @museiincomuneroma in Rome.

@gucci

花をあしらった子宮のデザインが入ったドレス

スローガン「私の体は私が決める」には「女性の体に関する選択は、女性に選ぶ権利があるべき」という意味が込められている。

他にも、子宮に花がデザインされた白地のドレスも注目を浴びた。

5月15日には米国アラバマ州で、望まない妊娠をした女性が中絶手術を受けることをほぼ全面的に禁止した「中絶禁止法」が成立した。

米国の歌手など著名人や政治家が反対の声をあげる中、GUCCIも中絶制限への反対のメッセージをファッションを通して届けた。

デザイナーのミケーレ氏は以下のように語っている

「先日、新聞で読んだニュースにより、女性は尊重されるべきであるという事実を改めて考えました。男性たちが捉える男性像と同じように女性たちも捉えられるべきで、選択の自由が与えられるべきです」

「他人の選択の自由について、誰も決定権を持つべきでない」

ミケーレ氏は直接の言及は避けたものの、アラバマ州議会上院で中絶禁止に関して賛成票を投じた議員25人は全員、男性議員だったことを遠回しに指摘しているようにもみえる。

「22.05.1978」

1978年5月22日。この日付はイタリアで、望まない妊娠に対して妊婦が自分の意志にて中絶ができるという法律が成立した日。GUCCIの強いメッセージを数字で表した。

現在は中絶が合法なイタリアだが、人工中絶をよしとしないカトリック教会の信者が国民の約8割だ。ローマ法王は5月25日にも、ローマ市内で開かれた人工妊娠中絶反対の国際会議で講演し、人工中絶は「ヒットマン(殺し屋)を雇うこと」と強く批判した

そんな中GUCCIはあえて、ローマで行なったファッションショーで中絶やリプロダクティブ・ヘルスに関するこのような強いメッセージを発信した。

ジェンダーをめぐるGUCCIの取り組み

‘My body my choice’, a feminist slogan from the 70s features on a yellow T-shirt with the @chimeforchange logo designed by artist MP5 in #GucciCruise20

@gucci

CHIMEロゴが入ったTシャツ

GUCCIは2013年、ジェンダー間の平等について取り組む団体「CHIME FOR CHANGE(変革への鐘)」を設立し、世界89カ国で女性の権利などに取り組む団体や事業に寄付・協力をしてきた。

今回のスローガンなどを入れたデザインも、CHIMEの取り組みの一環だった。

(サムネイル:getty image)