6月に愛媛県立とべ動物園で行われた動物脱出対策訓練が話題を呼びました。
その様子は日本だけでなく海外メディアでも取り上げられ、イギリスのガーディアン紙のウェブ版では「実は日本の動物園で、毎年このような訓練が行われているようです」と動画とともに報じられました。
着ぐるみを用いた「猛獣脱出対応訓練」は、全国で実施されています。そこで、過去に行われた、上野動物園と多摩動物公園における訓練を紹介します。
こちらは2016年2月に上野動物園で行われた、シマウマの脱出対応訓練。地震発生で柵が倒れ脱出した設定です。
シマウマの突進によりケガをした設定の職員の対応も訓練します。
最終的にはシマウマは網で捕獲。上野動物園によると飼育員だけでなく売店職員や外部から警察なども参加するそう。
こちらは多摩動物公園で行われた猛獣ユキヒョウの脱出対応。上野動物園と多摩動物公園では、毎年交互に訓練を行います。
着ぐるみの中は動物園のスタッフ。毎年、飼育員ら総勢60人ほどが訓練に参加するそうです。
園内の動物も訓練の様子を見守ります。こちらは2014年に上野動物園で行われたゴリラの脱出対応。
網を張って捕獲しやすい場所に誘導します。最後には麻酔班が出動します。
2008年に上野動物園で訓練をしたシマウマ役は2人体制。
実は歴史がある上野動物園の脱出対応訓練。同園によると、1967年が記録にある最初の実施年とのこと。こちらはクマ。
当時は着物を着て動物園を訪れる人も多くいたのでしょうか。クマが抱える女性のマネキンは着物を着ています。
1975年のゴリラ脱出対応(上野動物園)では、檻の中にも入って臨場感があります。
ゴリラの着ぐるみも2種類。訓練終了後はスタッフも達成感のある表情です。
来場者の命守り、動物も無事に捕獲する大切な訓練
動物園での脱出対応訓練について、上野動物園の訓練担当者に話を聞きました。
「猛獣の脱出から来園者の命を守るためというのもありますが、逃げ出した動物の安全も守り、無事に捕獲するという意味もあります」と、担当者は訓練の重要性を語ります。
訓練を開園日に実施する場合は、一般の来園者も見学が可能。ですが、警察や消防など外部からの参加者との予定調整の兼ね合いで、休園日に実施することもあるといいます。
担当者は「捕獲には網などの用具を使いますが、園内各所に置かれている用具の場所をスタッフが知り、対応できるようになることも訓練の大事な目的の一つです」と説明します。
動物の脱出対応の他に、警察と連携して非公開でテロ対策の訓練も行なっているそうです。