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「死んだキリンの胃にはこんなものが」 16年間訴え続ける動物園の思い

「10年以上経っても、看板を下すことはできないですよね」

「平成13年11月21日に死亡したキリンの胃には、この様なものが入っていました」

なぜビニールが体内に?

看板が立てられたのは、今から16年前。当時5歳だったキリンの「チェリー」が突然死んでしまい、解剖の結果、のどや胃の中からビニールが出てきたことがきっかけだった。

「とにかくがっかりした。それだけはよく覚えています」

園長の荒井賢治さんはBuzzFeed Newsの取材に、ビニールを見つけたときのことを振り返る。

荒井さんによると、えさをあげる際に手をなめられるのを嫌った来園客が、ビニール袋に入れたままえさを差し出し、キリンが袋ごと食べてしまう。その繰り返しなどで体内に蓄積したのではないかという。

当時からえさの持ち込みは禁止されており、園内で販売しているえさは消化可能な紙袋に入っていたが、隠れてビニール袋で持ち込む客は多かった。そのためチェリーの死後、危険性を伝えるために体内から見つかったビニールをそのまま掲示することにしたという。

「リアリティですよね。あげてはいけないものをあげてしまうと、こうなってしまうんですよということを伝えたかった」

チェリーの死から16年。現状は…

16年経ったいまでも、隠れてえさを持ち込む人は絶えない。「だから、10年以上経っても看板を下すことはできないですよね」と荒井さんは言う。

そんな宇都宮動物園では、3月29日にオスの赤ちゃんキリンが生まれたばかり。「マーチ」と名付けられ、その愛らしい姿を一目見ようと多くの人が園を訪れている。

荒井さんは「お客さんの中には『動物園は入園料を払って入る施設だから何をしてもいい』と言う感覚の人がいますが、動物は人を楽しませてくれるためのものではありません」と語る。

「看板を見ていただいた皆さんには、動物と人の関係をしっかり守り、動物たちを大切に思っていただけたらと思います」