医学部入試において、女子が不利になるよう得点が操作されていた問題で、同大を受験した女性13人が6月20日、順天堂大学側に対して、慰謝料など計約4270万円を求める集団訴訟を起こした。
医学部入試をめぐっては今年3月、同じく不正が明らかになった東京医科大学を、元受験生の女性36人が提訴している。
この二つの訴訟の弁護団の山崎新弁護士は、「順天堂大学は男子と女子で明らかに合格基準を変え、意図的かつ計画的に女性の合格率を下げていた。そこには明らかな差別があり、強い非難に値する」と主張した。
10〜20代の女性13人が原告に
弁護団によると、原告となるのは2011〜2018年度の医学部入試で、順天堂大学を受験した10〜20代の女性13人。
そのうち11人が、東京医大に対する訴訟にも原告として加わっているという。
訴状では、「性別という受験者個人の努力や意思によってはコントロールすることが不可能であり、受験者の感性や医師・医学者となるべき人物・識見・教養を見極めるのに全く無関係の属性を理由として、女性受験者を差別」したと主張。
不公平な入試を受けさせられたとして、1年度あたり200万円の慰謝料や受験料の賠償、過去の試験結果の開示などを求めている。
「女子の方がコミュニケーション能力が高い」から?
医学部における入試不正問題は昨年8月、東京医大が少なくとも2006年から、女子や浪人年数を重ねた受験生が不利になるよう、得点操作をしていたことが明らかになり、大きな批判を浴びた。
これを受けて文部科学省は、医学部医学科がある全国81大学を対象に緊急調査を実施。
順天堂大は、直近6年間の医学部合格率が男子9.16%、女子5.50%と、男女間の差が全国でもっとも大きかったことが明らかになった。
昨年12月には、第三者委員会が「緊急第一次報告書」を発表し、2017年度と18年度の入試で、女子や多浪生が不利に扱われていたことを指摘。
同大の代田浩之・医学部長は当時、「受験時点では女子の方が精神的な成熟が男子よりも早く、相対的にコミュニケーション能力が高い傾向にある。従って、判定の公平性を確保するために、男女間の差を補正したつもりだった」と弁明していた。
一方、順天堂大学が発表した2019年度の入試結果によると、男子の合格率が7.72%(170人)、女子が8.28%(139人)で、女子の合格率が男子を上回る結果となった。
また、読売新聞の調査によると、文科省が女性差別やその疑いを指摘した10大学のうち、差別があったとされる東京医科大学、順天堂大学、北里大学、聖マリアンナ大学の4校すべてで、女子の合格率が男子を上回っていた。
順天堂大学は、BuzzFeed Newsの取材に「訴状が届いていないため、コメントは差し控えさせて頂きます」と話した。