「私たちは無力ではない」73年目の広島原爆の日に、小学生が誓ったこと

    その言葉に込められたのは、記憶を受け継ぐ「伝承者」として、平和への思いを未来につなげていく決意だった。

    広島は8月6日、被爆73年となる「原爆の日」を迎えた。

    原爆投下によって、広島では1945年12月までに約14万人が命を落としたとされる。

    これまで長い年月にわたって原爆の恐ろしさを語り継ぎ、核兵器の非人道性を訴えてきた被爆者の平均年齢は、82.06歳となった。

    6日に開かれた平和記念式典では、小学6年生の新開美織さん(広島市立牛田小)と米広優陽君(同五日市東小)が「平和への誓い」を読み上げた。

    その言葉に込められたのは、記憶を受け継ぐ「伝承者」として、平和への思いを未来につなげていく決意だった。以下、全文を掲載する。


    人間は美しいものを作ることができます。人々を助け、笑顔にすることができます。

    しかし、恐ろしいものを作ってしまうのも、人間です。

    昭和20年、1945年8月6日午前8時15分。原子爆弾の投下によって街は焼け、たくさんの命が奪われました。

    「助けて」と泣き叫びながら倒れている子供。「うちの息子はどこ?」と探し続けるお父さんやお母さん。

    骨をもいでくださいと頼む人は、皮膚が垂れ下がり、腕の肉がない姿でした。

    広島は赤と黒だけの世界になったのです。

    73年が経つ。

    私たちに残されたのは、血がべっとりついた少女のワンピース。焼けた壁に記された伝言。

    そして、今もなお遺骨のないお墓の前で、静かに手を合わせる人。

    広島に残る遺品に思いを寄せ、今でも苦しみ続ける人々の話に耳を傾け、今私たちは強く平和を願います。

    平和とは、自然に笑顔になれること。平和とは、人も自分も幸せであること。

    平和とは、夢や希望を持てる未来があること。

    苦しみや憎しみを乗り越え、平和な未来を作ろうと懸命に生きてきた広島の人々。

    その平和への思いをつないでいく、私たち。

    平和を作ることは、難しいことではありません。私たちは無力ではないのです。

    平和への思いを折り鶴に込めて、世界の人々に届けます。

    73年前の事実を、被爆者の思いを、私たちが学んで心に感じたことを、伝える伝承者になります。

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