全国各地で、甲子園への切符を懸けた地方予選が繰り広げられている夏の高校野球。
一方、メジャーリーグで活躍するダルビッシュ有選手が、「予選を5月からやればいい」「開会式はスカイプで」などと、球児たちを酷使する傾向にある高校野球の慣習に対して、Twitterで疑問を呈している。
熱中症や故障のリスク
夏の高校野球をめぐっては、炎天下の中で行われる試合や開会式における、熱中症のリスクが長年指摘されてきた。
また、選手たちの故障につながるおそれがあるとして、連日試合が続く過密な大会日程の見直しや、「球数制限」の必要性なども議論が続いている。
7月25日に行われた岩手県大会決勝では、大船渡の監督が、今季の高校野球で最も注目されていたエース・佐々木朗希選手を登板させなかったことが議論を呼んだ。
佐々木選手は、21日に行われた4回戦で194球、24日の準決勝で129球投げていた。
国保陽平監督は「故障を防ぐためです。未来があるので。甲子園はもちろん素晴らしい舞台で、勝てば待っているのは分かっていたのですが、3年間朗希を見てきて、これは壊れる可能性が高いのかなと、私には決断できました」と語った。
「もっといい大会にできる」
東北高校出身のダルビッシュ選手は高校時代、2年生の春から4大会連続で甲子園に出場。2年の夏に準優勝を果たした。
3年春の選抜大会では、センバツ史上12人目となるノーヒットノーランを達成したものの、準々決勝で敗退。最後の夏は、3回戦で延長戦の末に敗れた。
甲子園での経験は、「特別な場所での特別な大会である分、『ちょっと痛いくらいなら』と無理をして投げてしまうこともあった」「大会をなくしていいとは思わないけど、変えていかなければいけないこともある。けがのリスクを抑えた、もっといい大会にしていくことは出来るはずです」と、朝日新聞のインタビューで語っている。
「予選を5月から」「スカイプ開会式」
様々な議論が続くなか、ダルビッシュ選手は7月26日、自身のTwitterに「春の地方大会やめて、夏の県大会予選5月からやればいいやん」「1回戦と2回戦の間10日ぐらい空きそう笑」と投稿した。
日程を緩和すると、エースピッチャーに依存する傾向が強まるのではないかという指摘には、「イニング制限すれば解決します」「試合は9回でいいけど、1人7回までってすればいいかと。1年生5回、2年生6回、3年生7回とかすれば1、2年からの酷使も防げるんじゃないですかね」と答えた。
「炎天下の元で生死をかけてやる姿が感動を呼ぶのであって…」という声には、「主役は球児。誰も感動したい人たちのために甲子園目指してないですからね」と一蹴した。
また、ダルビッシュ選手は「開会式」も必要ないと投稿。
「あと開会式もやめよ。誰が暑い中入場行進して、知らんおっちゃんの長い話聞きたいねん。それかスカイプ開会式」
「高野連がYouTubeアカウント持って、開会式や試合を生放送してスパチャ(視聴者が配信者に投げ銭するYouTubeの機能「スーパーチャット」の略)してくれた人の名前を読み上げてくれる画期的なシステムを構築。笑」
開会式は、保護者や指導者に恩を返す場だという意見には、「指導してもらったから無条件に恩人になるのは違和感しかないですね。あと熱中症のリスクにさらされてる生徒、息子なんて普通の感覚ならみたくないでしょ」と回答した。
さらに、「甲子園の休みの日を多くしてその日に女子高校野球の試合すればいいと思います。女子にもチャンスを」と呼びかけた。
一連のツイートには、批判も寄せられたが、ダルビッシュ選手は、「申し訳ございません。炎天下の中一生懸命頑張る球児達の身体は無視して自分だけ感動したいドS勢以外のまともな人たちと球児達のことを一生懸命考えた結果です」と投稿した。