ZOZO前澤社長の「1億円お年玉」は規約違反? Twitter社に聞いてみた

    「運用ルールに引っ掛かる!?」との報道もあったが…

    衣料品ネット通販「ZOZO」の前澤友作社長が「100名様に100万円【総額1億円のお年玉】を現金でプレゼントします」と宣言したTwitter投稿のリツイート数が420万を突破。

    リツイート数の世界記録を更新して話題を集める一方、Twitterの規約に抵触するのではないかとの指摘も出ている。BuzzFeedはTwitter Japanに取材し、見解を聞いた。

    投稿は瞬く間に拡散

    前澤社長は1月5日、下記のようにツイートした。

    《ZOZOTOWN新春セールが史上最速で取扱高100億円を先ほど突破!!日頃の感謝を込め、僕個人から100名様に100万円【総額1億円のお年玉】を現金でプレゼントします。応募方法は、僕をフォローいただいた上、このツイートをRTするだけ。受付は1/7まで。当選者には僕から直接DMします!》

    タダで100万円を手に入れられるチャンスとあって、投稿は瞬く間に拡散。7日15時半現在で420万回以上リツイートされ、100万を超える「いいね」がついた。

    ZOZOTOWN新春セールが史上最速で取扱高100億円を先ほど突破!!日頃の感謝を込め、僕個人から100名様に100万円【総額1億円のお年玉】を現金でプレゼントします。応募方法は、僕をフォローいただいた上、このツイートをRTするだけ。受付は1/7まで。当選者には僕から直接DMします! #月に行くならお年玉

    規約に抵触? スポーツ紙も報道

    ところがこれに物言いがついた。「Twitter規約に違反している」「規約的にグレー」などの指摘が相次いだのだ。

    スポーツ報知は7日朝、「ZOZO前澤社長、現金1億円お年玉で“日本新”300万リツイート突破…運用ルールに引っ掛かる!?」と題した記事を配信。

    《ルールでは「アカウントへの反応(フォロワー、リツイート、いいねなど)を購入、販売または作為的に誇張しようとした場合」をスパム行為とみなし、禁止している》とTwitterのルールに抵触する可能性を指摘した。

    フォロワーの購入はアウトだが…

    確かに、Twitterルールにはそのように定められている。それでは本当に、前澤社長の投稿はこのルールを逸脱しているのだろうか。

    フォローとリツイートを条件に、100万円が当たる。ただし、100人に限る――。全員にお金を渡せばフォロワーを金で買っていることになるが、100人限定となると「フォロワーの購入」と言えるかは微妙だ。

    それに、同様の懸賞キャンペーンは様々な企業が実施している。いまひとつ判然としないので、Twitter Japanに取材したところ、こんな回答があった。

    「いただきましたご質問に対する回答ですが、前澤さまの個人によるツイートは
    Twitterの利用規約に違反はしておりません」

    世界新記録達成🥇 Twitterリツイート数の世界記録(今までは355万RTでした)を上回りまだなお増えてます! 皆様のおかげです。感謝感謝🙏🙏 もうここまできたらお祭りだー!!!まだ参加間に合います! *注意:偽アカウントが複数発生中です。僕のお年玉キャンペーンはここのみで展開中です。

    懸賞には問題なし

    さらに、「よろしければこちらのTwitterルールをご参照くださいませ」という言葉とともに「キャンペーンの実施についてのガイドライン」のURLを案内された。

    企業、組織、さらにはクリエイティブな個人が、Twitterプロフィールでキャンペーンや懸賞を主催しています。Twitter上のキャンペーンや懸賞では、特定の内容のツイート、特定のアカウントのフォロー、特定のハッシュタグを付けた投稿などに対して賞品が提供されることがあります。

    こうした懸賞自体はガイドラインに則ったもので、特に問題ないということのようだ。

    新たな疑問が浮上

    ところが、このガイドラインに気になる箇所を見つけた。

    複数アカウントを作成させない


    キャンペーンに何度も応募するために多くのアカウントを作った利用者は、すべてのアカウントが凍結されることになります。複数のアカウントで応募した利用者は当選資格を失うことを必ず明記してください。

    こう書かれているにもかかわらず、前澤社長は複数アカウントでの投稿について、特段の注意を呼びかけていないのだ。

    「必ず」ではなく「おすすめ」

    この点についてもTwitter Japanに問い合わせると、次のような回答があった。

    「『必ず』と書いてありますが、こちらはあくまでも免責条項の一つになります。主催者側(個人)が140文字の制約されたツイートの文字数の中でこちらを含むのが難しい場合があります」

    「また、英語の方の規約ページをご参照いただきますと、"Please be sure to"でありますため、『必ず』ではなく『おすすめ』と同等な意味合いになります」

    英語の規約ページには、以下のように記載されている。

    Please be sure to include a rule stating that anyone found to use multiple accounts to enter will be ineligible.

    「ジーニアス英和大辞典」の「be sure to…」の項目には、「…するように気をつけなさい」「必ず…しなさい」とあり、「おすすめ」よりは「命令」に近いニュアンスが読み取れる。

    いずれにしても、前澤社長の投稿は規約に抵触しない、というのがTwitter Japanの見解だ。

    みんなが欲しいのはお金じゃなくて夢なんだなって思う。100万円あったら〇〇に使いたいの〇〇が、友達や家族や社会や動物や、多くの自分以外に向けられていてなんか泣けてくる。日本、まだまだ捨てたもんじゃない。たくさんの夢がある。RT数が日本記録更新とのこと。うん、夢がある。ありがとう。

    スパム対策は「最優先課題」

    とはいえTwitter側も、複数アカウントによる投稿やスパム行為を座視しているわけではない。回答の末尾にはこうも書かれていた。

    「一方で、Twitterからスパムをなくし安全な場所にすることは私たちの最優先課題です。情報の品質を改善する取り組みの一環として、開発者向けに複数アカウントからの同様のアクションを制限する変更を発表しました」

    「これは、米国を含め、各国で行われる選挙などの重大なトピックに関するTwitter上の会話に害をおよぼそうとしているアクションに対して、先手を打つ大きな一歩だと考えています」