カネカ「育休への見せしめではない」「当社の対応は適切」告発に反論

    「育児や介護などの家庭の事情を抱えているということでは社員の多くがあてはまりますので、育休をとった社員だけを特別扱いすることはできません」

    化学メーカー大手カネカの元社員とされる男性の妻がTwitterで、夫の育休取得直後に転勤を命じられ退職を余儀なくされたと告発した問題で、カネカは6月6日、元社員であることを認めたうえで、ホームページに「育休への見せしめではない」「当社の対応は適切」とする反論を掲載した。

    「今時こんなことが…」批判殺到

    改めて決意 夫日系一部上場企業で育休とったら明けて2日で関西に転勤内示、私の復職まで2週間、2歳と0歳は4月に転園入園できたばかり、新居に引越して10日後のこと。 いろいろかけ合い、有給も取らせてもらえず、結局昨日で退職、夫は今日から専業主夫になりました。 私産後4か月で家族4人を支えます

    《改めて決意

    夫日系一部上場企業で育休とったら明けて2日で関西に転勤内示、私の復職まで2週間、2歳と0歳は4月に転園入園できたばかり、新居に引越して10日後のこと。

    いろいろかけ合い、有給も取らせてもらえず、結局昨日で退職、夫は今日から専業主夫になりました。

    私産後4か月で家族4人を支えます》

    パピ_育休5月復帰」さんが6月1 日にこうツイートすると、4万回以上リツイートされ、5万を超える「いいね」が集まった。

    パピさんは会社名こそ明示していなかったが、「カガクでネガイをカナエル会社」というキャッチコピーを明かしたため、カネカのことだと受け止められ、「今時こんなことがあるなんて悲しすぎます」「最低ですね」といった批判が殺到。

    BuzzFeedの取材に対し、パピさんは「(転勤は)夫の能力をより発揮できるから、ということでした。ただ、どうしてこのタイミング?どうして夫じゃなきゃいけない?には最後まで答えられず、うやむやにされました」などと説明していた。

    育休社員「特別扱いできない」

    6月3日の取材時点でカネカは「Twitterの投稿は認識していますが、当社に宛てた書き込みではないないので、コメントは差し控えさせていただきます」と回答していたが、6日になって一転、経緯と見解を公表した。

    カネカ はホームページに「当社元社員ご家族によるSNSへの書き込みについて」と題した文章を掲載。次のように主張している。

    「元社員のご家族は、転勤の内示が育児休業休職取得に対する見せしめである、とされていますが、転勤の内示は、育休に対する見せしめではありません。また、元社員から5月7日に、退職日を5月31日とする退職願が提出され、そのとおり退職されております。当社が退職を強制したり、退職日を指定したという事実は一切ございません

    「当社においては、会社全体の人員とそれぞれの社員のなすべき仕事の観点から転勤制度を運用しています。育児や介護などの家庭の事情を抱えているということでは社員の多くがあてはまりますので、育休をとった社員だけを特別扱いすることはできません。したがって、結果的に転勤の内示が育休明けになることもあり、このこと自体が問題であるとは認識しておりません」

    延期すれば「けじめなくなる」

    わお!みなさまありがとうございます!補足すると、内示言われてから居住地域の労働局、人事、労働組合、都の労働局に相談しています。「社員の転勤命令は違法ではない」が統一意見でしたが、そこに妥当性(どうしても夫でなければならない、このタイミングでなければならない)が見られるか、が→

    ポイントでした。私たちは、転勤は応じるとしても生活が落ち着いていないので(社宅から建てたばかりの新居に引越して10日後)せめて1か月延ばしてほしい、と上司にお願いしましたが、聞き入れてもらえず。5月16日付で転勤、は絶対。4月23日の事でした。 #カガクでネガイをカナエル会社

    仕方なく連休明けに上司に、5月に関西転勤はできないから退職しかない、と伝え、ただ夫はじめたプロジェクトを責任持って軌道に乗せたいから東京で6月まではやらせてほしい、次への準備に20日以上余った有給を消化させてほしい、と頼んだけど、辞めるなら5月末だから、と切られ、ボーナス無し。

    「育休前に、元社員の勤務状況に照らし異動させることが必要であると判断しておりましたが、本人へ内示する前に育休に入られたために育休明け直後に内示することとなってしまいました。なお、本件での内示から発令までの期間は4月23日から5月16日までの3週間であり、通常よりも長いものでした」

    「また、着任日を延ばして欲しいとの希望がありましたが、元社員の勤務状況に照らし希望を受け入れるとけじめなく着任が遅れると判断して希望は受け入れませんでした

    「着任後に出張を認めるなど柔軟に対応しようと元社員の上司は考えていましたが、連休明けの5月7日に、退職日を5月31日とする退職願が提出されたため、この後は、転勤についてはやり取りがなされませんでした。このため元社員は転勤に関しての種々の配慮について誤解したままとなってしまったものと思います」

    「従前と変わらず」

    こうした説明を列挙したうえで、改めて「元社員の転勤及び退職に関して、当社の対応は適切であったと考えます」と強調。

    「当社は、今後とも、従前と変わらず、会社の要請と社員の事情を考慮して社員のワークライフバランスを実現して参ります」と、従来通りの姿勢を続けることを明らかにした。

    また、カネカ が炎上後にホームページの「ワークライフ・バランス」の項目を削除したのではないか、とする指摘についても改めて否定した。

    2月にホームページをリニューアルした際に、旧サイトをすべて削除するべきところ、一部だけが残っていたために削除したかのように誤解されたという。

    この点については「混乱を招いたことについてお詫び申し上げます」と陳謝している。