電車に乗るたびに一生懸命「席取り」をする母は、なぜあんなに必死だったのか?

    お母さんありがとう。恥ずかしいなんて思って、ごめんね。

    いつでも席を取ってくれたのは、母だった。

    自分の体験を元に「なぜ自分の母が席取りに一生懸命になるのか」を語った漫画が、Twitterで話題です。

    私の母は、電車の席を取るのが大得意ーー。

    自分たちのために、一生懸命席を取ってくれた母。そんな母に兄弟たちは距離を置くようになっていきます。

    そんな母は昭和前期生まれ。戦後に足りない物資の争奪戦などを通じて、席取りが得意に。

    そうして父とも出会った。今はどこへ行っても、誰かが手を差し伸べてくれる。

    こちらは後日談。電車では子どもに座らせないという意見。「守るだけじゃなく『育てる』ことが大切」

    そして現在、このツイートは1万以上のいいねが集まっており……

    後日談 席とりママをアップした翌日、 学生時代からの長~い付き合いの友達が、 なんか凄く良いことを言ってたので、 皆さまにも見てもらいたくなってしまいました。

    Twitter: @okaeri_eripiyo

    「子を思う母の愛情は不変なのだと思います」「席取りする人の印象変わった」など、家族への愛情や、席取りに関する捉え方が変わった、などというリプライが多く寄せられています。

    この漫画を描いた泉福朗さんは、BuzzFeed Newsの取材にこう答えます。

    ーー「席取り」を通じて、どんなことを学ばれましたか?

    母には心から申し訳ないのですが、我が子のためとはいえ、荷物を先に置いたりして席を確保することは「とても恥ずかしい」という気持ちを学びました。

    ただ、フォローもしてあげたい。昭和前期に生まれた母は、戦後、足りない物資の争奪戦だったサバイバルの時代に幼少時代を過ごし、高度経済成長期の、精神よりも経済や物で豊かさをはかる時期に青春時代を送ってます。

    しかし私や兄弟が生まれ育った昭和後期では、勝ち負けにこだわったり奪い合いなどしなくても充分生きていける余裕のある世の中になっていました。

    自分よりも守らねばならない者があっても、それでも他者への配慮を美徳として生きていけるのは、安心できる社会の基盤があってこそ。

    私たちはそれだけ恵まれていたのだと考える事もできます。

    ーー漫画への反響はいかがですか?

    大半の方が、席確保の行為よりも、母の子に対する愛情の方に着目してくださっているんです。

    そういうところにも、平成から令和で生きてきた方々の思い遣りの深さを感じます。

    他者への気配りとマナーが、平成以降の日本が世界に誇る美徳であると考えます。

    ーーどんな経緯でこうしたお母様のお話を知ったのですか?

    母は喋り好きで、娘の私はその聞き役でした。

    私視点での母しか語れませんが、自分のことを書いてほしい、知ってほしいと願っておりましたので、僭越ながら、漫画にしました。

    ーー何かお母様に伝えたいことはありますか?

    やり方はどうであれ常に子供優先、「頼れる母」でいたいと突っ張り続けていた母なのですが、現在は病床におります。

    溺愛といっても良いくらい愛してくれた母に感謝しています。一日でも長く生きていてほしいです。