親が政府のブラックリストに入っていると大学には入れない? 中国の名門大学の勧告が議論の的に

    父親の行動を理由に不当に高校生を罰していると、中国の人たちは大学を批判

    父親が政府のブラックリストに載っているという理由で、北京にある名門大学が、生徒の入学を妨げたと報じられ、中国で大きな論争を引き起こしている。

    国営メディアの報道によると、中国浙江省の温州市に住む高校生ラオさんは、超難関で競争が激しい国の入学試験でのスコアをもとに、大学に合格した。

    だが、合格を家族で祝う前に、大学から連絡があり、父親がブラックリストに載っているため、入学できないかもしれない、と告げられた。父親は、地元の銀行から20万人民元(約332万円)の借り入れがあり、父親に不利な裁判判断があった。その結果、借り入れを返す能力がない人のリストに載せられていた。

    ブラックリストは、中国で物議を醸している社会信用システムの主要な特徴である。社会的に望ましい方向に行動するように促すインセンティブと抑止要因の両方を用意した一連の政府プログラムだ。

    今日の中国における社会信用には、学歴、交通規則違反、前科歴、借り入れなど国民のあらゆるデータを収集し、分析する政府プログラムが関係している。個人のプライバシーの権利に、深刻な懸念が浮上してきている。

    生徒の父親は、すぐには借り入れの返済はできなかったが、報道によると、息子の大学入学の妨げになるかもしれないと聞き、返済努力を始めた、とのことだ。

    この話は、高校生の多くが日中の殆どの時間を勉強に費やし、一流大学への入学は、ご褒美である中国の痛いところを突いた。中国の教育制度は、学生に重圧をかけている。高校生活の最後に受ける1回の試験で、大学が事実上、決まるのだ。


    この出来事は、河北省北部の地元裁判所による最近の公示によく似ている、と国営メディア環球時報の英字紙Global Timesがホームページに掲載している。親の信用状態がよくない子どもを入学させないように、授業料を集める私立校に、裁判所が勧告したのだ。

    ラオさんと父親の話は、中国全土に広まった。浙江省の地元メディアが、最初にこの話を報道し、翌日に国営の中国中央テレビが取り上げた。人民日報は、大学の決定に批判的な意見記事をホームページに掲載した。

    「有名大学への入学は、家族の富に基づいていません。勤勉と努力次第です」と書かれている。「有名大学へ入学する機会を直接的に制限するのは、学生の教育を受ける権利を侵害します」

    この出来事は、ミニブログのウェイボーなど中国のソーシャルメディアで論争を生んだ。

    「親の行動で生徒が恩恵を受けたと証明されないのであれば、親の不誠実で子どもを付帯的に罰するのは、道徳に反します」とウェイボー利用者が、広く共有された投稿で書いている。

    別の利用者は端的に次のように書いている。「この法的根拠は何?」

    だが、その他の利用者の多くは、この判断は妥当だと言っている。

    「社会信用は、社会におけるすべての人の基盤になります。不誠実な個人の子どもを付帯的に罰するのは不当だと考えるのであれば、貸し手はどうなるのでしょうか。不誠実な個人が借金を払うのを拒否したために、貸し手は自分の子どもの教育費を払えないかもしれません」と利用者のひとりは言っている。

    「もう片方の家族にとっては、公平なのでしょうか。これはただの例ですが」

    「息子が父親の負債を相続するという古い言い伝えがあります。ですから、裁判所の判決は、間違えではないと私は思います」とその利用者はつけ加えた。


    この記事は、生徒の父親がブラックリストに掲載された理由を明確にするために、更新された。

    この記事は英語から翻訳されました。翻訳:五十川勇気 / 編集:BuzzFeed Japan