「逃亡犯条例」改正案に揺れる香港 写真からわかる激しいデモの様子

    香港が中国本土など犯罪容疑者の引き渡し協定を結んでいない国・地域への引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改定を巡り、香港で1997年以降で最大規模のデモが行われている。

    デモの参加者が抗議しているのは、中国本土への容疑者の強制送還を可能にする逃亡犯条例の改定だ。警察はゴム弾と催涙ガスで大規模デモの鎮圧を図った。

    6月12日、自治政府の本部である立法会総合ビルの前には数千もの人々が集まった。デモ全体での参加者は100万人以上だと推計されている。しかし、改正条例は今月中にも成立する見込みだ。

    1997年に香港の主権がイギリスから中国に返還された際、何十万人が抗議のため街に出た。今回のデモは、この香港返還以来最大規模である。

    抗議行動はおおむね平和的なものだったが、一部の人々がカラーコーンなど手元にあるものを機動隊に投げつけたため、警察は放水砲、催涙スプレー、警棒を使用した。

    主権が中国に返還されてからも、香港では50年間、高度な自治が認められており、「一国二制度」と呼ばれる。香港は独自の裁判官や議員を抱え、中国とは通貨も異なる。そして市民の言論と集会の自由は法のもとに保護されている。

    改定案に反対する人々は、中国が香港の政敵を標的にするため、引き渡し協定を利用するのではないかと恐れている。

    改定がおこなわれれば、例えば中国共産党政府に反対する香港人を、何らかの容疑で地元警察が拘束し、本土に送ることが可能になる。

    中国本土は、中国共産党がすべてに優越して指導する体制になっており、司法制度も日本や欧米のような独立性はない。

    人権派弁護士の拘束など不透明な実態や、チベット人、ウイグル人をはじめとする少数民族への弾圧などが続いており、国際社会では問題視されている。

    しかし、習近平国家主席は「西側の『憲政』『三権分立』『司法の独立』の道は歩まない」としており、今の仕組みを維持する考えを示している。



    この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:髙橋李佳子