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「女性議員の不倫疑惑」記事に共産党が法的措置を検討 まとめサイト「政治知新」の実態は

政治知新は、沖縄県知事選で玉城デニー現知事に関する「大麻疑惑」を発信し、「事実無根」と批判されていた。

「政治知新」というまとめサイトが掲載した女性議員の「不倫疑惑」について、共産党が「事実無根」と指摘し、法的措置を検討していることを明らかにした。

このサイトのドメイン管理者として登録されていた人物が自民党神奈川県議の親族だったこともあり、ネット上で注目を集めている。

いったい何が起きているのか。BuzzFeed Newsは、関係者を取材した。

まず、経緯を振り返る

問題となっている「政治知新」の記事は、4月11日に配信されたもの。

共産党に所属する女性衆議院議員の「不倫疑惑」を伝える内容で、Twitterなどで大きく拡散された。計測ツールBuzzSumoを用いて調べたところ、6400以上シェアされている。

サイトではブログや週刊誌サイトをソースとして引用していたが、議員本人はTwitterで「事実無根」と否定。

共産党も公式サイトで「中傷攻撃に抗議します」とした声明文を発表し、記事を「事実無根であることは明瞭です」「断固として抗議する」とした。

「政治知新」の記事はすでに削除されている。共産党東京都委員会の担当者は、BuzzFeed Newsの取材に対し、同サイトに対する法的措置を「早急に検討している」と明らかにした。

過去にも「事実無根」の批判が

ドメイン情報によると、この「政治知新」は2017年9月から運営されている。

「マスメディアでは報道されない」ニュースを中心に配信していると銘打っており、Twitterのフォロワーは約1万4千人だ。

BuzzSumoで計測できる範囲では、同サイトはこれまで2000本以上の記事を配信。最も拡散されたのは立憲民主党の議員を批判する記事(1万2800シェア)だ。

同様の野党批判記事や、中国や韓国、在日コリアンを批判する記事も多く配信している。

一方、2番目に拡散されているのは、「東日本大震災時、たった三人で被災地救援に向かった安倍総理」という安倍首相を賞賛しながら、野党を批判する内容の記事だった。

また、沖縄県知事選の選挙期間中には、現知事の玉城デニー氏の「大麻疑惑」を掲載し、注目されていた。

記事は7000以上シェアされている。知事選直前の1週間に限ってみれば、玉城氏関係のネット記事では2番目の拡散だ。

この際もソースはブログだったが、玉城氏自身はTwitterで「事実無根」と否定。当時を知るとして名指しされていた関係者も、BuzzFeed Newsの取材に「でっち上げ」と指摘している。

ドメイン管理者は誰?

BuzzFeed NewsはドメインのWhois照会をかけ、登録者(管理者)として連絡先や名前が掲載されていた男性に、直接取材した。

法人登記によると、男性はホームページの企画、制作、運営などをする会社を2017年8月から運営している。

すでに削除されているこの会社のサイトでは、「サイト制作・運用」「経営コンサルティング」「NAVERまとめ制作代行」などを業務として掲げていた。

男性は取材に対し、「政治知新」に関連するWhois情報が正しいものであることを認めた。

ただ、サイトとの関わりについては、「うちはただの制作会社です。詳しい話については一切お答えできません」と述べた。

そのうえで、「制作会社がドメインを取得するというのはよくあること」とも指摘。「クライアントさんに関しての情報はお答えできません」と語った。

コンテンツの内容そのものについても、明確な答えはなかった。

兄は自民県議、関係を否定

男性の兄は、自民党神奈川県議の2期目をつとめる人物だ。

この点について確認をしたところ、「兄が自民党の神奈川県議であることは事実」としながら、自民党組織や議員本人と自身の会社は「一切関係がない」と強調した。

一方で、ネット上に名前など公開され、「いたずら電話が相次いでいる。業務に差し支えが出るのでやめていただきたい」とも語った。

また、兄の神奈川県議もBuzzFeed Newsの取材に応じた。

「政治知新」については今回の騒動の中で「初めて知った」といい、男性の運営する会社とは「全く関係がない」と回答。政治献金も受けていないと説明した。