みんなで叩くから気持ちいい? ネットの炎上を可視化し話題、BOT制作者の思い

    事件事故だけではなく、広告や商品、作品や著名人の発言などをめぐり、様々な炎上が日々起きる昨今のTwitter。「みんなの忘れたニュースBOT」のフォロワーは、開始5日間で3万人を超えています。

    Twitterで「炎上」した話題を、忘れられたころにツイートするBOTが話題を呼んでいます。

    世間が [電気グルーヴ] について話さなくなって38日が経ちました。 https://t.co/1bnNKvJdDX

    BOTには、様々な「世間が話さなくなった内容」とともに、その炎上を示すグラフが掲載されています。

    たとえば「電気グルーヴ」だと上記のような感じ。ピエール瀧容疑者が逮捕されたことをきっかけにいっきに炎上が拡大している様子がわかります。

    開発したのは、ソフトウェアエンジニアの河本健さん。BuzzFeed Newsの取材に「SNSで炎上ネタに突入する前に、一呼吸置く人間が少しでも増えてほしいと思った」と語ります。

    最近のTwitterの色んなことに怒って忘れてを繰り返す空気が好きじゃないので、「忘れられて一ヶ月ぐらい経った話題」を自動で集めるBOTを作った。定期的に流れる「忘れた話題」を眺めると、新たな炎上ネタを見た時「俺これ一ヶ月後も覚えてるかな?」と冷静になれる気がする。 https://t.co/3gKU5QMnC6

    「最近特に、Twitterで炎上のサイクルが短くなっているように感じました。このサイクルの速さを可視化し、定期的に目につくようにすれば、新たな炎上ネタを見たときに(少なくとも自分は)本当に自分が一言言うべき話題なのかどうか少し考えたるクセが生まれるのではないかと思って作りました」

    事件事故だけではなく、広告や商品、作品や著名人の発言などをめぐり、様々な炎上が日々起きる昨今のTwitter。

    河本さんは、「自分が過去に炎上を面白く感じてしまった経験」から、炎上そのものをこう分析します。

    「みんなに叩かれている物を一緒に叩くのが、気持ちいいからだと思います。炎上をすぐに忘れるのは、本質的に自分に関係ないものを叩いているからだと思います」

    河本さんは、当時の炎上を「蒸し返す」ことが目的ではないと、強調します。一方で「怒り」をなくすことが目的ではない、とも。

    「世の中が怒らず全てに無関心になることを目指しているのではないです。むしろ逆で、怒るのであれば、ただ叩きやすい対象者を叩いて気持ちよくなって終わるのではなく、そもそもどういうシステム的問題があって(事件ならば)そういう事件が起きたのか、どうすれば改善できるのか、自分にできることはなにか、を激しく議論or自問自答するのが望ましいと思っています」

    「その世界では、このbotのグラフは今のような数日で終わるピークではなく、なだらかに下がりつつ少しずつポジティブな感情も増えてくるカーブを描くのではないかと思います。自分の経験では、怒りは新たな面白い発想をする良いチャンスです。一時的に気持ちよくなって何も解決や発明をしないのでは勿体無いと考えています」

    普段は都内のIT企業で働く傍ら、様々なソフトウェアやハードウェア作品を発表している河本さん。このBOTは、10連休の間につくりあげたのだそう。

    BOTのフォロワーは、開始5日間で3万人を超えています。