ゴーン被告の変装に使われた埼玉の企業 「なぜうちの帽子を」と困惑

    帽子のロゴは、埼玉県川口市の鉄道車輌の製造・整備などを行う企業「日本電装株式会社」のものだった。

    東京拘置所から保釈された、特別背任などの罪で起訴されている日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(64)。その「変装」が話題を呼んでいる。

    ゴーン被告は、勾留108日で保釈。弁護側が先週、3回目となる保釈を申請し、認められた。検察側は準抗告したが、東京地裁は棄却した。保釈保証金は10億円だった。

    3月6日には作業着姿に身を包み、拘置所の玄関につけられていたスズキの軽自動車に乗り込んで、東京拘置所を後にした。

    作業着には「ハウジング」の文字。社名がちょうど隠れており、判別できない。

    一方で帽子には、特徴的なカミナリマークのロゴ。いったいあれはどこの企業なのかーー。ネット上でも、注目を浴びた。

    帽子の正体は…?

    「日産のNマークでは」などという声もあがったが、違う。この帽子は、埼玉県川口市で鉄道車輌の製造や組立、整備などを行う「日本電装株式会社」のものだった。

    BuzzFeed Newsの取材に応じた同社の担当者によると、ゴーン被告が被っていたものは、3年ほど前まで使われていた作業服の布帽子だという。

    「今はヘルメット着用に変わったため、使われていません。なぜいまになって、ゴーン被告が被っていたのか、まったくわからない」

    6日、ネット上でゴーン被告の保釈のニュースを見た社員が帽子に気づき、発覚したという。広報担当者も「あっ、と。なぜうちの帽子を、と思いました」と当時の驚きを語る。

    1950年創業の日本電装の主な取引先は、東武鉄道や京王電鉄だ。日産やルノーとの資本関係も、取引も一切ない。

    ゴーン被告側からの連絡は特になかったといい、担当者は、困惑を隠さない。

    「困惑している。とにかく何もわからない。はっきりとして明確な情報がないので、対応に苦慮しています」