「ネットで誤情報が拡散」今治タオル企業が法的措置も検討、NHKドキュメンタリーで中傷殺到

    NHKのドキュメンタリー番組「ノーナレ」では、愛媛県の縫製工場で働く低賃金、長時間労働を強いられるベトナム人技能実習生が取り上げられた。ネット上で「特定」され、誹謗中傷が相次いだ森清タオル側(株式会社オルネット)は自社と無関係であることを表明している。

    縫製工場における外国人技能実習生の劣悪な労働環境を伝えた、NHKのドキュメンタリー番組『ノーナレ』。

    放送後、ネット上での「特定」がきっかけとなり、番組で指摘された企業とは別の企業に、中傷が相次いでいる。

    誤解された企業は「無関係」であることを発表。NHK側が公式サイトやTwitterで「その企業は、当番組で取り上げた会社ではありません」などと表明する事態が起きている。

    いったい、何が起きているのか。

    6月24日夜の『ノーナレ』では、愛媛県の縫製工場で働く低賃金、長時間労働を強いられるベトナム人技能実習生が取り上げられた。

    番組中では具体的な社名や地名には触れられなかったものの、批判が高まった。そして、写り込んだ建物をGoogleストリートビューで「特定」する人たちが現れたのだ。

    その建物に「森清タオル」という看板があることから、「犯人」が同社であるとする書き込みが相次いだ。

    こうした情報はトレンドブログやまとめサイトなどにも取り上げられ、「森清タオル 特定か|ノーナレ、愛媛県の過酷なタオル工場を放送…ヤバイ!!!」などというタイトルで配信され、さらにSNSで情報が広がった。

    森清タオル側(株式会社オルネット)は、6月25日に「当社ではないかという問い合わせが何件か寄せられていますが、当社は関連会社を含め、技能実習生の雇用をしておりません」という見解を発表した。

    ただ、ネット上ではその後も「疑念」は消えなかった。多くは「建物は同社のものなのに…」といった指摘だ。「『森清タオル』が否定声明を出すが、疑問の残る展開に」と伝えるトレンドブログも出現した。

    NHK側はTwitterや番組公式サイトで「森清タオル」の社名に言及し、「当番組で取り上げた会社ではありません」と呼びかけた。

    さらに同社は、翌26日に改めて見解を公表。番組で写り込んだ建物は、元工場で、いまは別の会社に賃貸で貸している物件であると明らかにした。

    また、「建物を貸している会社の事業等の内情は一切関与していない」という。

    元々指摘されている工場では、森清タオルの所有物件としてタオルの製造を行なっていました。

    しかし、製造ラインの廃止に伴い約20年前に工場は閉鎖する運びとなり、それ以降は当社の駐車場として工場を使用していました。

    思い入れのある森清タオルの看板だけは撤去せずにいましたが、その後、平成28年付けで駐車場から賃貸物件として一般企業に公開する運びとなります。

    そのうえで、リリースでは「現在の様子」も公表。Googleストリートビュー上で現れていた同社の看板は、すでに撤去されていることを明らかにした。

    番組放送後には「今治タオル不買」というハッシュタグも現れている。

    同社は「誤った報道が拡散されて行くことは大変遺憾」「決して今治タオル市場全体が放送内容のような業界ではないことを皆様にはご理解頂きたい」と述べている。

    さらに同社には「事実無根の誹謗中傷の電話や、まとめサイト、SNS等が昼夜問わず多数寄せられて」いることから、業務への支障も生じているという。

    そのうえで、サイト運営者には「早急に該当記事の削除・訂正をして頂くか事実に基づいた公平な情報発信を」と呼びかけている。誤った情報の掲載が続いた場合、同社は法的措置を検討する、としている。