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「韓国旅行中の日本人女児を暴行、犯人が無罪に」デマが再び拡散、差別的なコメントも

フェイクニュースサイトに掲載されたデマ情報を引用した《【悲報】韓国旅行中の日本人の11歳と9歳の姉妹が連れ去られ強姦された事件、容疑者が愛国無罪放免となっていたことが判明》というスレッドが5ちゃんねるに立ち上がり、複数のまとめサイトが引用している。

「韓国旅行中の日本人の11歳と9歳の姉妹が連れ去られ強姦された事件、無罪に」という2年前の悪質なフェイクニュースが、再びネット上で拡散し始めている。

前提として、これは事実無根のデマ情報なので、注意が必要だ。いったい、何が起きているのか。

拡散しているのは、韓国に旅行していた日本人女児の姉妹がデパートで強姦されたが、「被害者が日本に帰国したため罪を無理に罰する必要もなく、無罪が妥当と考えられる」として犯人の男は無罪になった、という内容の文章だ。

韓国、ソウル市日本人女児 強姦事件に判決 一転無罪へ

1 6日、ソウル市裁判所にて日本人女児を強姦したとして起訴されたイ・ムヒョンに判決が下され、一審の判決を覆す無罪が言い渡された。 事件は2000年に日本から観光を目的として訪れた四人連れ家族のうち、11歳と9歳の姉妹がムヒョンに強姦されたというもの。

当時、家族はソウル市内のデパートを訪れている最中での犯行だった。ムヒョンはデパートの中で迷っていた姉妹を発見すると、二人の手を引いて非常階段へと連れ出し、そこで刃物で脅しながら姉妹を強姦した。

デパートの従業員が全裸で泣きじゃくる姉妹を発見し、防犯カメラからの映像を元にして逮捕へとつながった。 裁判は「ムヒョンが本当に強姦事件を行ったかどうかについて防犯カメラ以外に証拠がない」として、 犯人は別にいると主張する弁護士と、「状況からムヒョン以外に犯人は存在しえない」と主張する検察が真っ向から対立する構図となっていた。

キム・ジュン裁判長は「被告が真の犯人である可能性は極めて高く、他に犯人がいるとは考えられないが、 被害者が日本に帰国したため罪を無理に罰する必要もなく、無罪が妥当と考えられる」と述べた。

拡散の発端は5ちゃんねる。スレッドには写真のように韓国語サイトへのリンクが貼られており、一見本物のニュース記事のように見える。

ただ、これは創作されたフェイクニュースであることが、2017年1月のBuzzFeed Newsの取材で明らかになっている。

発端は「金銭目的」のデマサイト

2017年1月にこの記事を公開したサイトは「大韓民国民間報道」。これは20代の男性が金銭目的で立ち上げた、すべてが虚偽のフェイクニュースサイトだ。

当時、この記事は韓国に批判的なことで知られる元在特会会長の桜井誠氏がツイートするなどし、拡散していた。

TwitterやFacebookで約2万シェアされるほどの拡散だった。「韓国」と「日本」が見出しに入った記事としては、その1年間で7番目の多さだ。

BuzzFeed Newsは、管理者の男性に直接取材をしている。

男性は「大韓民国民間報道」に出ている記事がすべて「フェイクニュース」と言い切り、「短期間でお金を稼ぐため、政治的な記事のトラフィック拡散を用いて金銭を得ようとした」と証言した。

また、嫌韓層をターゲットにしたとも明言。「ヘイトを煽る記事は拡散される」として、以下のように述べている。

「基本的に韓国のことを話題にする人たちが、拡散したいな、と思っている情報は2つあります。一つは、ヘイトを煽る記事。もう一つは、韓国のことを馬鹿にしたり、『やばいのでは』と言ったりできる記事です」

関連記事:「ヘイト記事は拡散する」嫌韓デマサイト、運営者が語った手法

今回リンクが貼られた韓国語のサイトも、あたかも韓国のサイトにソースがあるように見せるため、男性自らが「ニュース」をGoogleを使って韓国語に翻訳したものだ。

差別的なコメントも

今回、5ちゃんねるにスレッドが立ち上がったのは6月8日の朝。

《【悲報】韓国旅行中の日本人の11歳と9歳の姉妹が連れ去られ強姦された事件、容疑者が愛国無罪放免となっていたことが判明》 というタイトルで、「マスゴミがスルーするやつだ」「日本人を韓国に行かすなよ 旅行させるな」などのコメントが寄せられている。

そして、「くろーばー速報まとめ」「2ちゃんねるニュース超速まとめ+」「黒マッチョニュース」など、複数のまとめサイトが同様の見出しで記事化した。

スレッド上には「フェイクでは」という指摘もあったが、SNSでは鵜呑みにした人が「朝鮮人見たら犯罪者だと思った方がいい」「韓国は異常で危険な国。反日無罪の野蛮な民族」などと差別的な言葉とともにツイートしている。

現状、拡散はまだ大きく広がっているとは言えないが、デマ情報であることに注意が必要だ。

管理人の男性は「赤字だった」としてサイトの更新を止め、日本語版のサイトはその後閉鎖されていた。しかし、韓国語版のサイトがWeb上に残されたままになっており、今回もそれが引用されたとみられる。

男性は当時、こうも語っていた。

「デマを流すことは悪いことですが、デマはない世界はないですよね。いくらでもそういうニュースはある。インターネットの発達以前の問題ですよ」

「デマや噂なんてこの世にありふれている。それに踊らされるのは個人の問題ではないでしょうか。噂を流した側の責務ではない。これからもデマはでき続けるはず。収益化できるかは別ですが」