2月14日に告示された沖縄・辺野古への米海兵隊普天間基地移設に関する埋め立て工事の県民投票(24日投開票)をめぐり、反対派による投票運動に対して「アウト」などという指摘が、まとめサイトなどで上がっている。
だが、今回の県民投票をめぐる運動は原則「自由」とされており、これらの指摘はミスリードだ。
まず、経緯を振り返る
今回の県民投票をめぐっては、反対派による「反対に○を」というキャンペーンが告示前から活発になっている。
中心になっているのは、先の知事選で玉城デニー知事を支えた「オール沖縄」勢力。
県政与党や企業でつくる「新基地建設反対県民投票連絡会」は告示前からネット上でのアピールのほか、ビラ配布や演説会、街宣車などによる投票運動を実施している。
こうした活動に対し、「アウト」「禁じられている」などという声が上がっているのだ。
「これ、アウトだろ」の声も…
まとめサイト「アノニマスポスト」は告示日の2月14日の記事で、連絡会が配布したと見られるビラを紹介。
「ネットの声」として以下のようなコメントを紹介した。
「パヨクがこういうビラ撒いて反対に投票するよう誘導してるのはいいの?」
「これアウトやろ あー沖縄だとセーフなのか」「やっぱ頭狂っとる」「やりたい放題」「公職選挙法を平気で破る土地柄」
しかし、これはミスリードだ。
今回の県民投票は、国政選挙や地方選挙のやり方を規定した公職選挙法ではなく、沖縄県が制定した県民投票条例に基づいて行われる。
このため、こうしたビラも規制の対象外だ。条文には、以下のように記されている。
「県民投票に関する投票運動は、自由とする。ただし、買収、脅迫等により県民の自由な意思が制約され、又は不当に干渉されるものであってはならない」
公選法で禁じられている事前運動や電話での依頼、18歳未満の運動、署名や戸別訪問、公務員による運動も許されているほか、ポスター掲示なども他の法令に触れない範囲でされている(琉球新報、2月8日)など、自由度が高い。
「賛成派」の草の根運動も?
とはいえ、反対派に比べると、賛成派による組織的な運動が進んでいないのも事実だ。
先の知事選で苛烈な組織戦を繰り広げた自民党は、辺野古移設に容認の立場をとるが、県民投票では「自主投票」としている。
知事選で自民党をバックアップした公明党も、今回は「自主投票」だ。
一方で普天間基地がある宜野湾市の一部では、「埋め立てに反対すると普天間基地が固定化される」という内容のビラがポスティングされている(写真)。
ビラでは「埋め立てマルで7年以内閉鎖」としているが、沖縄タイムス(2月13日)によると、辺野古の基地予定地の地盤は軟弱で、基地建設を進めても整備に時間が掛かるという。このまま辺野古に基地が建設されたとしても、米軍は少なくとも2028年ごろまでは普天間基地を閉鎖せず使い続ける見通しだという。
県民投票の投開票は24日。15日からは期日前投票が始まる。