同日午後の党首討論で、国民民主党の玉木雄一郎代表は、朝日新聞の報道を話題にあげた。この報道が事実かを問われ、安倍首相は、以下のように答弁した。
「私は滅多に激怒しない人間として、自由民主党では理解されているわけでありまして。温和に円満に生きているつもりであります。大切なことは、国民に誤解を与えない、そういう資料をつくることではないかと」
「大バカ者」と言ったかどうかについては明言していないが、「私は滅多に激怒しない」に「えー!」というヤジや笑い声もあがった。
その後、玉木代表から付箋付きの報告書を渡され、それを「もう読んでいるので結構です」と返す場面もあった。
そもそも、この報告書の発表直後、麻生太郎財務大臣はその内容を支持するような発言をしていた。
「100歳まで生きる前提で退職金って計算したことあるか?普通の人はないよ。そういったことを今のうちから考えておかないといかんのですよ」
しかし、この問題への動揺が広がると、麻生財務大臣は方向転換。「世間に著しい不安と誤解を与えている」ことを理由に、受け取らない方針を示した。また、自民党の森山裕国会対策委員長も「報告書はもうなくなった」と述べ、波紋が広がった。
さらに報告書に関する野党議員からの質問主意書について、政府は6月18日、「回答を差し控えたい」とする答弁書を閣議決定した。
「世間に著しい誤解や不安を与え、政府の政策スタンスとも異なることから、正式な報告書としては受け取らないと決定し、政策遂行の参考とはしないとしたところであり、報告書を前提としたお尋ねにお答えすることは差し控えたい」
こうした姿勢に対し、党首討論で言及が相次いだ。
一番手だった立憲民主党の枝野幸男代表は「国民の不安に向き合っていない」と批判。
国民の玉木代表も「隠蔽体質が不安を呼ぶ」と指摘し、共産党の志位和夫委員長は「隠蔽」と強い口調で攻め立て、日本維新の会の片山虎之助共同代表も「受け取ったら困るんですか?」と疑問符を投げかけた。
一方、安倍首相は報告書について、「平均値で見るのがいいのか、ここに大きな問題がある」「貯金2500万円が前提条件になっており、違和感を感じた人もいる」「大きな誤解が生じた」「ミスリードしている」などと指摘。
受け取らないという点についても、「政策として受け入れるということではない」と語った。
そのうえで、枝野代表が「国民は年金の何に不安を持っているのか」と問うたことに対しては、こう答えている。
「年金によって自分たちの老後の生活を賄うことができるのか、果たして年金は持続可能なのかどうかと、不安を持っておられる」
「大切なことは何かといえば、年金生活者の多様な生活実態にしっかりと対応していくものとなっているかどうか、ということであります」