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中高生にも広がる「フェイクニュース」 騙された人の6割が拡散を経験?

災害時のデマから芸能人をめぐるゴシップ、身近な噂、そもそもジョークとして作成されたものなどが入り混じっていた。

「フェイクニュース」に騙された経験がある中高生が26.3%にのぼり、うち61%が何らかの形で拡散の経験をしていることが、調査会社のMMD研究所とテスティーによる共同調査で明らかになった。

調査は2019年2月、テスティーの提供するアンケートアプリを通じて実施。スマートフォンを利用する12〜18歳の中高生の男女1248人が回答した。

調査結果によると、「フェイクニュース」という言葉を知っているのは、全体の84.6%。

熊本地震で拡散した「動物園からライオンが逃げ出した」というデマに触れながら、「あなたはフェイクニュースを見たことがありますか?」と聞いた設問には、43%が「見たことがある」と回答。

騙されたことがあると回答したのは26.3%にのぼった。また、騙された人のうち、RTや「いいね」をして拡散してしまったことがある人は27%、友人や家族に話してしまったことがある人は34%だった。

一方、「フェイクニュースを今後見破れる自信があるか」という問いに対しては、全体の53%が「やや自信がない」「自信がない」と回答。「自信がある」「やや自信がある」の46.9%を上回った。

そもそも、「騙されたことに気が付いていない」という可能性もあると言えるだろう。

中高生が目にした「フェイクニュース」とは

実際に見たことがあったり、騙されたりしたことがある「フェイクニュース」としては、以下のような具体例があがった。

中学生

  • 家の近所で体調不良で人が倒れてしまった事故が、「殺人事件」としてLINEで広まった(13歳・男子中学生)
  • 中国とアメリカが戦争を始めたという偽の情報が出回っていた(14歳・ 男子中学生)

  • スマイリーキクチさんがフェイクニュースによって殺人事件の実行犯とされ誹謗中傷されたもの(15歳・女子中学生)

  • 地震の影響で京セラドームの屋根が壊れてしまった(14歳・女子中学生)
  • 嵐の活動休止の記者会見が8時から生中継されるとSNSで書いて あったが、生中継されなかった(15歳・女子中学生)
  • 芸能人の熱愛報道(15歳・女子中学生)

  • オバマ元大統領がトランプ大統領の悪口を言っている(14歳・女子中学生)


高校生

  • 架空のうどん店が架空の大学に対して注意したニュース(16歳・男子高校生)
  • 真冬の北海道で、公園の便器が冷たすぎて座った男性が死亡(18 歳・女子高校生)

  • 某野党が札幌市内全域で断水が発生したとTwitterで拡散したこと(16歳・男子高校生)

  • 水族館のマグロがカメラのフラッシュのせいで死んでしまったというニュース (18歳・女子高校生)
  • 知人が非行を繰り返ししているという内容(17歳・女子高校生)

  • 大阪の大雨災害で避難して家が空き巣になった所を狙ってお金を盗む(18歳・女子高校生)


「フェイクニュース」の認識として、災害時のデマから芸能人をめぐるゴシップ、身近な噂、そもそもジョークとして作成されたものなどが入り混じっていることがわかる。

フェイクニュースの7つの分類

フェイクニュースについては、その対策に取り組むアメリカの「ファースト・ドラフト・ニュース」のクレア・ウォードル氏が7つの類型を示している。

  • 風刺・パロディ:害を与える意図はないが、騙される可能性がある
  • 誤った関連付け:見出し、画像、キャプションなどが内容と合っていない
  • ミスリーディング:誤解を与えるような情報の使い方
  • 偽の文脈:正しい内容が間違った文脈で使われる
  • 偽装:正しい情報源が偽装されている
  • 操作:騙す目的で情報や画像が操作されている
  • 捏造:騙したり害を与えるために作られた100%嘘の内容


こうした「グラデーション」ゆえに、すべてを一括りに「フェイクニュース」と呼ぶべきではないという声もあがっている。

アメリカの研究からは、こうした偽情報や誤情報は、そうでない情報と比べ、「速く、遠くまで伝わる性質」があることもわかっている。また、「扇情的」な言葉が含まれているほうが、拡散される傾向にあるという。

さらに、その共有の80%を担っているのは全体の0.1%という研究結果もある。米国では、中でも高齢者や「極右」とされる人々が偽ニュースを共有しやすいという。

UPDATE

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