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「来月から国会議員の月給が100万円→120万円に引き上げ」は誤り ネットで拡散

そもそも日本の国会議員の給料(歳費)は、「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」という法律で決められている。議長は月額217万円、副議長は月額158万4千円、議員は月額129万4千円と定められており、これは2010年の法改正時から変わっていない。

「来月から国会議員の給料が引き上げられる」という情報が、7月21日の参院選をめぐりネット上で拡散している。

「103万円から129万円に昇給する」とされているが、結論からすると、これは誤りだ。129万円は、いま議員に支給されている給料(歳費)であり、値上げの予定は当面、ない。

BuzzFeed Newsは、ファクトチェックを実施した。

拡散しているのは、以下のような個人のツイート。

7月17日午前現在、約1850リツイート、約1450いいねがついており、「議員達に都合の良い事ばかり」「不公平なことが起こっている」など、リプライ欄は怒りの声で溢れている。

来月から、国会議員の月給がおよそ100万円から120万円に引き上げられるそうです‼️

皆さん御存知でしたか⁉️庶民はこのまま自公政権のままならあらゆる社会保障が削られ給料は上がらず、消費税増税も控えている…。もう無茶苦茶だ‼️

詳細額が判明しました!正しくは103万円から129万円に昇給するそうです

公的な立場の人間は、先ずは自国民の利益を最優先するはずだ!なんて事は今の与党議員達には通用しない性善説みたいです!私達の生活と命を守る為に常に政治には意識を向け、意見や行動を起こして行くべきですね!

しかし、国会議員の給料(歳費)はいま現在、「129万4千円」だ。来月に引き上げられる予定もなく、この情報そのものが誤っていることになる。

いったい、なぜこのような誤情報が広がっているのだろうか。

そもそも「歳費」とは

そもそも日本の国会議員の給料は、「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」という法律で決められている。

議長は月額217万円、副議長は月額158万4千円、議員は月額129万4千円と定められており、これは2010年の法改正時から変わっていない。

ただ、2011年3月の東日本大震災を受け、同年4月から半年間で計300万円(月額50万円)が削減され、これが一旦元に戻ったあと、12年5月からは12.88%の削減が決まった。これは11月の衆院解散で2割削減に引き下げられ、14年4月30日まで2年間続いた。

いずれも、特例法で決められているものだ。つまり、2割削減されていた「103万円」が2014年5月1日にそれまでと同じ「129万4千円」に戻ったことになるが、これは「引き上げ」というよりは、特例の削減措置が終わったという方が正確だ。

ツイートで引用されていた「103万円」「129万円」の数字は、この削減されていた時と、本来の給料を指しているとみられる。

2割=年間30億円に

歳費自体が高額であるという指摘は、根強い。2割削減でも、すべての国会議員を合わせれば年間約30億円もの削減につながるからだ。

削減措置が終わったことには当時から批判の声が上がっており、「103万円から129万円への26万円引き上げ」と報じるメディアもあった。

今回の選挙前後にも、そうした5年前の「引き上げ」記事がSNS上でたびたび拡散しており、シェアされる中で「5月」「今月」などと言葉が移り変わり、「来月から引き上げ」という情報へ変質したとみられる。

一方で、今回の選挙後は議員定数が6増加するため、歳費全体の予算は拡大することになる。これを受け、今年7月には8月からの3年間、議員1人当たり月額7万7千円の「自主返納」を可能とする改正歳費法が成立している。

とはいえ、自主返納はあくまで個人の裁量に委ねられていることから「パフォーマンス」との指摘も上がっている。

消費増税も予定されていることから、国民からの批判を避けるため、参院選の公約に「歳費1割削減」などを掲げている政党もある。


BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、今回の参院選からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。ガイドラインはこちらからご覧ください。


  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。