赤いふんどし姿で、沖縄の海に向かって社会派のネタについて思うことを叫ぶ「せやろがいおじさん」。ネットで話題を呼ぶ人物だ。
インパクトとテンポの良さを兼ね備えた動画が、再び拡散している。今回の動画のテーマは「若者の政治離れ」について。
7月4日に公示された参議院議員選挙が、21日に投開票を控える中、動画がTwitterで4万件近くリツイートされている。
せやろがいおじさんは、沖縄で活動するお笑いコンビ「リップサービス」の榎森耕助さん。
本業のかたわら、これまで教員の労働環境や、ミュージシャンで俳優のピエール瀧氏をめぐる薬物使用報道など、さまざまな社会的な話題を題材に、動画を制作・配信してきた。
Twitterに投稿すれば拡散し、1万リツイートを超えることも珍しくない。
今回の動画の内容とは
「若者の政治離れ」について扱った今回の動画でも、せやろがいおじさん流にユーモア溢れる内容で問題提起。動画の冒頭、カメラに向かってこう呼びかけた。
若者の政治離れもなにも、そもそも近づいたことがないと思うねん。だからそれ言われても、あんまり離れてる実感が湧かへんのとちゃうやろか?
それよりも、若者に近づいてもらう為の工夫をした方がええんちゃうか!?と思う。
せやろがいおじさんは、若者を中心に人気を集める動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を例に出し、どうすれば高齢者に使ってもらえるかの説明方法を紹介。選挙での投票について、こう訴えた。
若者の目に触れる場所で、若者に届く言葉で、選挙に行く意味を発信せなアカンと思う。
かつてのせやろがいおじさんは、「俺が行かんくても一緒でしょ」と考え、投票をしたことがない1人だったという。
だからこそ、投票をしない若者の気持ちがわかるとして、当時の自分に対してメッセージを送る形で続けた。
まず若者たちの「俺一人が行かんくても一緒でしょ」っていうのが集まったら、どうなるか?
そら若者の投票率減るわな。そしたら政治家はどうするか?若者はほっといて、投票しに来てくれる中年から年配の方々が喜ぶ政策や〜ろう!ってなるわな!
若者が住みやすい社会にしてほしいんやったら、政治家に「若者も投票に行ってるで〜」っていうのを見せつけたらなアカン。
「俺一人が行かんくても一緒でしょ」じゃなくて、俺一人だけでも行くんや!
そして、「この動画を最後まで見て、あなたは今度の参院選どないするか考えよ〜」と沖縄の海に向かって叫び、動画を締めた。
なぜ「若者の政治離れ」がテーマ?本人に聞いた
BuzzFeed Newsは、せやろがいおじさんに電話取材。なぜ「若者の政治離れ」をテーマにしたのか聞いた。
「動画で紹介しているように、僕自身、25歳くらいまで投票をしたことがない若者だったんです。『若者の政治離れ』『投票行け』と言われても、ピンと来ませんでした」
「それで、(参院選を前に)若者にアプローチするには、どうすれば良いだろうなと考え始めて。『若者の政治離れ』が、独りよがりの言葉になり、若者をより遠ざけているのでは?との考えから、この動画を作りました」
動画を投稿したツイートは7月6日午後3時現在、4万件近くリツイートされている。
大きな反響があり、「人生で初めて、選挙に行こうと思った」「迷ってたけど選挙行きます!」「今回の話聞いて『行かないと』ってなりました」など多くのコメントが寄せられている。
せやろがいおじさんはそうしたコメントに「嬉しかった」と語る一方、こんな気づきがあったそうだ。
「投票したことがない人の中には、どうやって投票すれば良いのかとか、投票所の入場整理券が自宅に郵送されることなどを知らない人もいるとわかりました」
「だから、簡単に投票できるよ、と伝える動画も作れないかなとも考えています」
この他に、「憲法改正」や「選択的夫婦別姓」などをテーマにした動画を制作するか検討中だという。
「投開票日までに配信しない可能性もありますけどね。おもしろい動画を作れるかどうかで、いつもゴーを出してますから。視聴者が笑えなかったら、芸人がやっている意味がないと思っています」
最後に、動画を観てくれる若者に、こんな言葉を送る。
「過去の僕へのメッセージを、盗み聞きしてしてもらう感じで動画を観てもらいたいと思っています。そして、投票に行ってもらいたいです」