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同性婚訴訟、なぜ憲法の「婚姻の自由」と「法の下の平等」に反すると主張するのか

原告らは、東京、大阪、札幌、名古屋の4地裁への提訴に踏み切った。

同性同士の結婚ができないのは憲法が保障する「婚姻の自由」などに違反するとして、全国13組の同性カップルが2月14日、国を相手取り、一斉提訴した。

原告側弁護団によると、「同性婚を認めないことは違憲」とする集団訴訟は初めてだ。

計13組の原告は、東京や大阪など8都道府県の20~50代の同性カップル。8組は男性同士で、5組が女性同士だ。

現在の日本の法制度では、民法や戸籍法の「夫婦」の表現は「男である夫」、「女である妻」を意味すると一般的に解釈され、同性婚は認められていない。

このため原告らはこの日、同性との結婚を認めないことは不当であるとして、東京、大阪、札幌、名古屋の4地裁への提訴に踏み切った。

憲法の「婚姻の自由」と「法の下の平等」に違反

訴状によると、原告らは同性との結婚が法的に認められないのは、憲法の「婚姻の自由」と「法の下の平等」に反するとしている。

憲法24条1項は「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」すると定めている。

この条文は、当事者の自由意思に基づき、かつ双方が平等な合意によって婚姻をする権利、つまり「婚姻の自由」を保障するもの。その趣旨は、戦前のように結婚を「家と家の問題」とし、相手を自由に決められなかった仕組みを改めるもので、同性との結婚を禁止するためのものではない、としている。

憲法はさらに、「法の下の平等」を保障しており、同性婚を認めないことは、不合理・不当な差別である。そのうえ、適切な立法が行われないことそのものが怠慢であり、違法だと主張している。

損害賠償請求、狙いは「違憲判決」

裁判では、国が同性婚を認める立法を怠り、精神的損害を被ったとして、1人当たり100万円の損害賠償を求める。

だが、原告らの真の目的は、賠償金を得ることではない。この提訴をきっかけに、同性婚の法制化を実現させることだ。

というのも、日本の司法制度では、法律や制度などの違憲性を直接審理する、いわゆる「憲法裁判所」が存在しない。

このため、ある制度が違憲かどうかの判断を得るためには、具体的な問題の解決を求める裁判を起こす必要がある。だから、「同性同士の結婚を妨げられ、権利を侵害され、損害を受けた」という形で裁判を起こし、その中で憲法違反の有無を審理するというステップを踏むのだ。

提訴後、寺原真希子弁護士は「原告たちはそれぞれに思いがあり、勇気を持って原告になる決意をしてくれました。必ずこの訴訟で憲法違反の判決を勝ち取りたい」と意気込んだ。

原告「尊厳を取り戻す長い旅」

東京地裁に提訴した原告らは14日午後、都内で会見を開いて、思いを語った。

原告の相場謙治さんは「この訴訟を通じて、全国の多くの方々に苦難や困難を知ってもらいたい。全国にいる当事者のためにも戦っています」と提訴の意義を語った。

「私たちは、平等なスタートラインに立ちたいだけです。裁判官の方には公平な判断のもと、国に同性婚を認めてもらいたいです」

パートナーである古積健さんは「尊厳を取り戻す長い旅になります」と相場さんの隣に座った。

中島愛さんは、バウマン・クリスティナさんとドイツで結婚し、日本で暮らしている。

日本では同性婚ができないため、配偶者ビザが得られないなど「不平等な扱いを受けている」と訴える。

クリスティナさんは「私たちの願いは、普通の夫婦のように結婚したいだけ。日本が大好きで、日本で一緒に住むことを決めました。住みやすい国になってほしい」と願った。

原告たちは全員、「自分を偽り、辛い思いをすることは、私の世代で終わりにしたい」「応援よろしくお願いします」などと顔を出してメッセージを口にした。それを聞き、涙を流す原告もいた。