4月10日に旗揚げしてから3カ月。7月21日に投開票があった参議院議員選挙で2議席を獲得した、れいわ新選組。
政党要件を満たす結果となった一方で、山本太郎代表は落選した。
自身の議席を逃したことが伝えられると、山本代表は「後悔はない」と開票センターの壇上に立ち、支援者らに向かって語り始めた。
なぜ、後悔はないのか。今後の展望とは。
れいわ新選組は、比例区と選挙区で計10人の候補者を擁立した。
比例区で、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者で人工呼吸器を装着した舩後靖彦さんと、重度身体障害のある木村英子さんには、「特定枠」を適用。
得票が一定数を超えれば優先的に当選する仕組みで、山本代表が当選するには、2人を当選させたうえで、さらに得票を積み増さねばならないという「背水の陣」を敷いた。
結果は、その2人が当選した。だが、山本代表が当選するには及ばなかった。
政党要件は「天と地の差」
ただし、山本代表は「一切、後悔はないです。当然ですね」と結果を見つめた。
「最初は(山本代表の)1議席でしたけど、今回2議席になった。政党要件もついた」
そして、当事者2人を国会に送り出せたことで、日本の障害者施策やバリアフリー、寝たきりに関した問題も「大きく前進するだろう」と語り、前向きな姿勢を見せた。
「10人立候補して10人通せなかったのは、完全に私の力不足。私自身も議席を得られなかったのは、非常に残念です」
「ですが、2議席を頂戴し、政党要件も満たした。それを見れば、決して負けてはいない。れいわ新選組としては大きく前進し、山本太郎の1議席と引き換えに手に入れたものは、比べられないほど大きなものだったと思います」
れいわ新選組は、公職選挙法などが定める「政党要件」を満たしていなかった。このため、要件を満たす他党に比べると報道各社の扱いが少なかった。
テレビなどでもっと報じられ、有権者に認知されていれば、議席を伸ばせたのではないか。陣営側は認識を一致させている。
とはいえ、今回、政党要件を満たす結果に。それにより、今後、メディア露出が増えたり、資金面などで優遇されたりと、「天と地の差がある」と表現。こう総括した。
「旗揚げした理由は、まず最初に国会の中に緊張感を生み出せるような野党勢力を作りたいと思ったことが一点。1番の狙いは、政権をとるということ。(衆院選に向けて)大きな成果を得られた」
次に狙う衆院選での躍進
次に目指すのは、衆議院議員選挙での躍進だという。
メディアだけでなく、他党にとっても無視できない存在になったといい、政権獲得の願いを実現させるためには、野党共闘もあり得るとした。
その場合、「(マニュフェストの)消費税廃止は譲らない。しかし、他党が減税ということで舵を切るならば、話し合いの余地はある」と述べる。
「一番は、この国に生きる人々のために、本気で仕事をする気があるかってことですね。そうなったうえで一緒になれる方とは、一緒にやっていく」
「政権をとるならば、100人の候補者を擁立しなければいけない。この数字には、野党共闘も入ってくるでしょう」
躍進の鍵は、今回の参院選と同様、政治への「無関心層」にいかにリーチするかだと分析し、無関心層を取り込む努力を継続していきたいと意気込む。
れいわ新選組は、どういった社会を作っていきたいか。
「タブーなしでいきたいですね。最大のタブーは、財務省や大企業に忖度し続けること」
「それによって、首を絞められているのは、この国に生きる人々。その先にあったのは、疲弊しかない。その状況を変えたい」
「永田町を中から変えることはできない。みんなで一緒に、一人ひとりが変えられるという意識に訴えかけるのが、これからの政治に必要なこと。重点的に外向きにやっていきます」
4億円の寄付、メディアに頼らない"盛り上げ"
メディア露出が少なかったれいわ新選組は、有権者の意表を突く候補者選定と、「参加型」「盛り上げ型」をつきつめた演説やネット上での選挙活動で、支持を集めた。
4月に旗揚げ後、7月20日までに約3万3000人が寄付し、4億円が集まったという。
この数字に、山本代表は「『死にたくなる社会をやめてくれ』という、悲鳴ですよ」と見る。
「この悲鳴に対して何ができるか考えるのが、政治だと思う。根本からの治療が必要です」
「この熱は冷めることなく、次の衆院選に続いていくと思います。ファンタジーに終わらせたくない、リアルにつなげて、確実に前に進んでいきたいと思っています」
衆院選に出馬の意向
自身は、代表としての仕事をしながら、衆院選について「出るしかないんじゃないですか、これ」と出馬の意向を口にした。最後、支援者らに向かい、感謝とともに、改めて支援を依頼した。
「全然、私、議席を失ったけれど、悲観していないんですよ。なぜなら、6年前より前進しているんですよ。ここからさらに広げていけると信じています」
「もっともっとたくさんの当事者を集めて、最強のグループを作って、打って出ようじゃないですか」