川崎市登戸の現場で続いた懸命の救護活動 市長の憤り

    川崎市登戸で19人が刺し傷を負って搬送された事件で、小学6年の女子児童と30代の男性の2人が犠牲となった。

    川崎市多摩区の登戸駅付近で男が19人を刺し、自らも刺したとみられる事件。警察が身柄を確保した50代の男を含む3人の死亡が確認された。うち1人は、小学6年の女子児童だった。

    川崎市の各担当部局が5月28日、記者会見して対応の状況を説明した。

    川崎市消防局によると、事件の発生は5月28日午前7時41分ごろ。同44分ごろ、最初に市民の110番通報を受けた神奈川県警から消防局に連絡があった。

    当初は「けが人4人」という情報だったので、通常の出動態勢だったが、まもなく大規模な被害が起きていることがわかり、7時56分に大規模救急体制に切り替え、救急隊計16隊などが、次々と出動したという。

    消防隊員らは現場で、けがをした人々の容態を調べて搬送の優先順位を決める「トリアージ」を行った。

    トリアージを受けた人々の多くは、胸より上をけがしていたという。

    優先度の高い「赤」と判断された4人の中に、警察が身柄を確保した50代の男がいた。NHKの報道によると、男は両手に包丁を持って小学生に近づいたという。

    男は聖マリアンナ医科大病院(川崎市)に搬送され、事件発生から約3時間後に死亡が確認された。

    記者会見した聖マリアンナ医科大病院によると、この病院では男を含む5人を受け入れた。男は首に深い切り傷を負っていたといい、自ら刺したとみられる。

    記者会見した医師は「多数の児童が一度に搬送されるというのは、あまりないことだった。全ての医師を総動員して対応した」と話した。

    通学用のスクールバスのバス停が現場付近にあり、子どもたちが巻き込まれた可能性がある川崎市多摩区の私立カリタス学園。幼稚園から高校まである学校法人だ。

    学校側によると、事件を受けて生徒は全員、下校させたという。校庭には、子どもを迎えに来た保護者のものとみられる乗用車やタクシーが止まっていた。

    幼稚園に通う娘がいるという母親はBuzzFeed Newsに「学校から定時休校となり、迎えにきてくださいとの連絡がきた」と話し、母子で帰宅した。

    学校側は5月28日夕に保護者への説明会を開き、その後記者会見する予定だ。

    カリタス学園法人本部の高松広明事務局長は集まった報道陣に「情報収集中です。保護者の皆様には申し訳ない。何とも言いようがないです」と話した。

    川崎市の福田紀彦市長は同日、コメントを出した。

    「大変強い憤りを感じている。被害に遭われた方、ご家族や関係者の皆さまには、余りにも突然のことでお慰めする言葉もない。市として事件の内容を確認し、被害に遭われた方々への支援と市民生活の安全確保に取り組みたい」

    また、来日中のトランプ米大統領は、横須賀に停泊する海上自衛隊の護衛艦「かが」艦上での演説で、こう述べた。

    「ファーストレディーと私は、今朝東京近郊で起きた刺殺事件について、被害に遭われた犠牲者に哀悼の意を表します。すべてのアメリカ国民は、日本の皆さんとともにあり、被害者とその家族と悲しみを共有します」

    【UPDATE】共同通信によると、神奈川県警は28日午後、事件で新たに男子児童1人が軽傷を負っていたと発表。被害者は計19人となった。