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「安倍首相に改憲議論ぶつける」と国民民主党の玉木代表 党内からは「誤報だと祈る」

玉木代表は「従来の考え方を述べたまでです」と述べた。いったい何が起きたのか。

国民民主党の玉木雄一郎代表が7月25日、インターネット放送「文化人放送局」の番組で、憲法改正論議について前向きな姿勢を表明したことが、報道各社に取り上げられると、ネットでさまざまな解釈が飛び交った。

同党の所属議員からは「誤報であることを、祈ります」「立憲主義を毀損するいかなる試みも認められません」などという声が上がるなど、波紋を広げている。

玉木代表はいったい何を語ったのか。

番組は、インターネット放送の「文化人放送局」。ホームページによると「音楽、医療、トークバラエティーなど幅広いカテゴリーの話題」を放送しているという。

今回は「緊急特番」として、参院選を終えた玉木代表が出演した。

冒頭で、森友・加計学園問題によって国会で「かなりの時間」を取り、結果として重要課題について議論できなかったことを「反省しなければいけない。お詫び申し上げます」と謝罪し、こう述べた。

「私ね、生まれ変わりました。安倍総理、たしかに、総理の考えとは私、違いますけれど、憲法改正の議論はしっかり進めていきましょう」

先の参院選では、憲法改正の発議に必要な議席が、自民、公明両党と日本維新の会など改憲勢力で3分の2を割り込んだ。それを踏まえ、憲法改正論議に向けてこう語った。

「我々としても憲法の改正議論は進めていきますし、安倍総理にもぶつけますよ。だから、安倍総理にも受け取ってもらいたいんですよ。秋波を送ってくれているのは、新聞で見ました」

「我々は組織として一つの考えをまとめて、党と党として、最終的には党首と党首としてきちんと話をさせてもらいたいですね」

最後には、自民党が掲げる憲法9条に自衛隊を明記するなどの改憲案4項目に触れ、安倍晋三首相にメッセージを送った。

「憲法議論をしっかりやりますから。総理の4項目には必ずしも賛成ではありません。ただ、憲法議論は国の最高法規ですから、やりましょう」

時事通信の報じ方と受け止められ方

時事通信は、玉木代表が安倍首相に「党首会談を申し入れる考えを表明した」と報じた。

国会での憲法改正に向けた議論に応じるものとし、玉木氏の発言が安倍首相の呼びかけに呼応したものと指摘した。

この記事をもとにツイートしたのが、国民民主党の津村啓介衆議院議員だった。

誤報であることを、祈ります。 https://t.co/oTViNjl7Ur

投稿には「残念です」「国民民主も分裂か?」などとコメントが寄せられ、有権者らからもさまざまな解釈が生まれた。

玉木代表と政調会長がTwitterを更新

国民民主党の政務調査会長である泉健太衆議院議員は、翌日の26日午前8時半頃、Twitterを更新

「今朝、代表に私から確認しました」と、玉木代表の考えをこう綴った。

①『生まれ変わった』は、選挙を通じ、国会で野党が単に抵抗勢力と見られてはいけない、と意を強くした。


②代表の憲法論は、『九条は現行維持。他の人権等を明記する改正に前向き』

ということです。

批判を受けた玉木代表も午前8時すぎに「昨日の発言は従来の考え方を述べたまでです」とツイートし、今後の方針以下のように示した。

まず積み残しになっている国民投票法改正法案について議論。国民民主党が提出している改正法案にあるCM広告規制の導入は不可欠。安倍総理の9条改憲案には明確に反対。我が党の改憲項目については党内でまとめ、党首討論などで安倍総理に論戦を挑んでいく。

添付した画像は、党の政策パンフレットの一部だった。そこには、「憲法の議論を進める」とある。

憲法9条については「論理的整合性、法的安定性に欠ける恣意的・便宜的な憲法解釈の変更は許されません」「国が自衛権を行使できる限界を曖昧にしたまま、憲法9条に自衛隊を明記すべきではありません」との党の考えが書いてある。

国民民主党の動きは、今後の改憲論議の進展に大きく影響を与えそうだ。