参院選後初めての臨時国会が8月1日、召集され、れいわ新選組から当選した重度の身体障害のある2人の参議院議員が初登院した。
木村英子議員と舩後靖彦議員=いずれも比例代表=だ。
そんな2人を見守ろうと、国会の正門前には多くの支援者や報道陣らが駆けつけ、押し合うなどの混乱も見られた。
木村英子議員は幼い頃の事故で、舩後靖彦議員は難病・ALS(筋萎縮性側索硬化症)を患い、重度の身体障害となった。いずれも介助者がいなければ生活に支障をきたす。
史上初めてALS患者と重度障害者が国会議員となったことで、注目度も高い。
午前9時前、100人以上の支援者のほか、報道陣により国会の正門前は大混雑の状況だった。
9時過ぎにまず木村議員が車で到着。車椅子に乗ったまま車を降りると、歓声があがった。そして、多くの人が囲んだ。
「押さないでください!」。警察官や支援者からの声が響き渡る。
木村議員は、介助者に付き添われながらゆっくりと進み、正門の扉の前で止まった。そして、タブレット端末に表示されるメモを読んで、支援者らに向かって意気込みを語った。
《おはようございます。木村英子です。みなさんのおかげで、私は参議院議員になることができました。本当にありがとうございました。
重度障害者が初めて当選したということで、いくつかの問題に直面しました。参議院のみなさまには迅速に対応していただき、物理的な障壁を取り除いていただいて、本当に感謝しています。
しかし、私たち障害者にとって、もっとも重要な最後の問題が置き去りにされ、国会議員として参加することができない事態となりました。私たちは介助者がいなければ生きていくことができません。
すでに報道されているように議員活動に際し、必要な介助費用について参議院が当面、負担することになり、それ以外については厚労省が負担することになりました。
私たちが求めていた介助を必要とする障害者が、「重度訪問介護」サービスを使って、就労につくという要望は認められませんでした。制度の改正に時間のかかるこの大きな問題を改善していくために、私たちはこれから国会の中で頑張って取り組んでいきたいと思います。
今後ともみなさんのご支援をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。それでは行ってきます。》
「頑張れ!」「行ってらっしゃい!」。支援者が、木村議員に声援を送った。
その後、舩後議員も車で正門前に到着。少しの間、車を止めるとドアを開け、木村議員と異なって車から降りることはなく、支援者から花束を受け取った。そして、国会の中に入って行った。
木村議員と舩後議員が受ける「重度訪問介護」サービスは、特例で参議院が費用負担する形となったが、両氏は国が費用負担する抜本的な制度改正を求めている。
8月1日召集の臨時国会に出席しないことも検討していたが、2人は最終的に初登院した。