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参院選でフェイクニュースは見破れるか。「投票行動への悪影響を一番避けねばならぬ」

ファクトチェックの意義とは。

政治家の発言やメディアの報道、ネット情報などを検証するファクトチェックの基準を発表しているNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」が7月3日、参議院議員選挙(4日公示、21日投開票)に向けて、記者会見を開いた。

真偽不明の情報が拡散することで、有権者の投票行動に悪影響が出ないよう、参院選におけるファクトチェックの意義を強調した。

近年、選挙に関する情報がSNSなどで拡散するようになった。その中には、デマや真偽不明の情報も含まれ、それぞれが真実かどうかを検証する大切さが再認識されている。

その流れを受け、FIJは2017年に設立。ジャーナリストや学者、弁護士らがメンバーだ。

投票行動に悪影響が出ないように

早稲田大学政治経済学術院教授である瀬川至朗理事長は会見で、参院選に向けた課題をこう述べた。

「ネット上で誤った情報が拡散し、選挙の投票行動に悪影響を与える可能性があります。そのため、情報を検証して、事実と異なるものであれば有権者に注意喚起し、適切な投票行動を取るための一助になればと思っています」

選挙時、アメリカやヨーロッパ、韓国などではメディアやファクトチェック・サイトによるファクトチェックが活発に行われている。

日本でもファクトチェックが普及するよう、FIJは活動に賛同するメディアに情報提供するなどしてきた。

2017年の衆院選では、4媒体が参加して18本の記事をFI Jのサイトに掲載。18年の沖縄県知事選でも6媒体が参加し、13本を掲載したという。

ガイドラインに適合した記事のみ紹介

今回の参院選でも引き続き、参加表明したメディアパートナーと情報の検証に挑む。

現在、10団体がメディアパートナーとして加わっているが、参院選ではそのなかで沖縄県の琉球新報やBuzzFeed Japanなど5団体がファクトチェックの実践を表明している。

参加する媒体が「ファクトチェック記事」として検証記事を配信する場合、FIJによる「ファクトチェック・ガイドライン」に準拠した形で書くように促している。

そして、今回の参院選からは、各社から配信された記事が、ガイドラインに適合しているかどうかを審査する編集委員会を設ける。

5人のメンバーを委員とする合議制を採用して、3人が1つの記事をチェックする形で、ガイドラインに適合していると判断された記事のみ、FIJのサイトで紹介するという。

編集委員には瀬川理事長や楊井人文事務局⻑らのほか、BuzzFeed Japan創刊編集長を5月に退任し、現在はシニアフェローの古田大輔氏も入っている。

「何をファクトチェックするかは、各社の判断」

また、東北大学とスマートニュースの協力のもと開発され、沖縄県知事選で運用を開始した、自動的に「疑義言説」を収集するシステムを参院選でも活用。

検証対象となる情報収集を強化し、メディアパートナーに情報を提供する。

弁護士の楊井事務局長は、ファクトチェックの対象となる情報をこう説明する。

「基本的に何をファクトチェックするかは、各社の判断です」

「対象を限定するわけではありませんが、各国と同様に、選挙の主役である候補者や、党の代表の言説はファクトチェックの対象になります。同時に、政党や候補者にまつわるネット上の言説、記事も対象です」

記者会見に参加した記者からは、「選挙においては公正性が大事。バランスを取ることについてどう考えているか」といった質問が出た。

それに対し、瀬川理事長は「検証対象となる言説がどの党の候補者であっても、同じ基準のもと、ファクトチェックすることが大事で、公正性を担保する」と強調した。

「間違った情報が飛び交うことによる投票行動への悪影響を一番避けなければいけないと考えています。引き続き、メディア各社にメディアパートナーとしての参加を呼びかけていきます」


BuzzFeed Japanは2019年5月、FIJのメディアパートナーとなりました。

そのほか、スマートニュースや中京テレビ、琉球新報などが参加しています。定義は、以下の通りです。

誤った情報に惑わされない社会を築くため、ファクトチェック・ガイドラインの趣旨を踏まえ、FIJと相互に協力して、公正なファクトチェック活動やその普及に努めるメディアその他組織

これまでBuzzFeed Japanでは2017年の総選挙の際に導入した独自の基準にしたがってファクトチェックとなる対象の言説の評価をしてきましたが、メディアパートナーとなったことを受け、今後はFIJのガイドラインに基づいた9段階のレーティングを導入します。


  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。

また、BuzzFeed Japanでは、独自の基準に基づいたファクトチェック記事だけではなく、関連インタビューやフェイクニュース、まとめサイトなど、インターネット上にある様々な情報・言説、さらにはメディアの報道内容の調査などに関係する記事に「FactCheck」と記したバッジをつけ、一覧がこちらから閲覧できるようにしてきました。

これには、読者の方々に対して「ファクトチェック」に限らず、情報やメディアについて広く発信していきたいという狙いがあります。

今後もバッジの運用は同様に続けていきますが、ファクトチェック記事に関しては、上記のレーティングを明記することで差別化を図ります。また記事には、レーティングとともに、以下のような文言と、レーティング表も記載します。

BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、そのガイドラインに基づき、対象言説のレーティングを実施しています。ガイドラインはこちらからご覧ください。

チェックが必要と思われる情報があれば、BuzzFeed Japanのニュースチーム(japan-report@buzzfeed.com)までご連絡をお願いいたします。

アップデート

瀬川至朗理事長の肩書き表記に誤りがあったため、訂正しました。