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佐川急便の配達員の労災認定が明らかに。「パワハラ」受けた男性が語った被害

男性と代理人弁護士が明らかにした。

佐川急便の児玉営業所(埼玉県)に所属する配達員の男性(38歳、発症時36歳)が、精神疾患の労災認定を受けた。

厚生労働省で記者会見した男性と代理人弁護士が12月4日、明らかにした。

事故後に「パワハラ」発生

男性は佐川急便で配達作業に従事。

13年12月に自転車で勤務中に転倒事故を起こし、1ヶ月ほど自宅療養をした。そのため、通勤災害の申請をしたい、と上司に相談したが、所長から配送業務から外して事務所での荷物整理の係にすると脅迫されたため、通勤災害の申請を断念せざるを得なかった。

その後、事故で負った膝の怪我が悪化。入院して手術をしたが、上司の係長に「お前以前も休んだよな」と言われ、もし会社を訴えた場合には「それなりの対応をするから覚悟しとけよ」とすごまれた。配送業務からの配置転換に同意するよう呼び出した上、再三執拗に迫られた。

また、16年3月には配達する担当コースの変更を強いるなどの嫌がらせを受けていたという。

そして、同年12月末ごろから体調を崩し、不眠や不安感などの症状が出たという。

時間外労働時間は116時間

熊谷労働基準監督署は関係者への聞き取りのほか、タコグラフや営業所の張り込みなどから休憩時間がないことを確認。10月末、労災と認定した。

労基署が認定した、男性が発症する直前の16年12月の時間外労働時間は、116時間にのぼっていた。

記者会見で、代理人の増田崇弁護士は、同営業所の他の従業員からも労災申請の依頼を受けていると発表。次のように佐川急便の問題を指摘した。

「数十人程度の規模の営業所で複数の被害者が出ているという異常な状況。佐川急便全体では、埋もれている被害者は極めて多数に上ると思われ、社会に撒き散らしている害悪は極めて深刻です」

労災認定を受け、会見で男性はうつむき加減で話した。

「長時間労働は会社の体質で、パワハラは上司の問題。自分の件は認定を受けたが、困っている人が他にもいる。申請するなどして認定を勝ち取っていただきたい」