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あいちトリエンナーレに「安倍首相と菅官房長官の口をヒールで踏む作品」は誤り

トリエンナーレ実行委が公式見解を発表した。

従軍慰安婦や昭和天皇などに関する展示がされていることから批判が相次いでいる、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」。

そこに、安倍晋三首相と菅義偉官房長官と見られる人物の口をハイヒールで踏む作品が展示されているとの情報がネット上で拡散している。

しかし、結論から言えば、これは「誤り」だ。トリエンナーレ実行委が公式に否定した。

あいちトリエンナーレは、3年に1度開かれている国際芸術祭。文化庁などの助成も受けており、今年で4回目。今回の芸術監督は、ジャーナリストの津田大介さんが務めている。

企画展「表現の不自由展・その後」では、これまで各地の美術館などで撤去されてきた展示物を並べて展示した。

しかし、その中に従軍慰安婦の女性をモデルにした「平和の少女像」や、「昭和天皇と推定できる」写真を燃やした「焼かれるべき絵」が展示され、トリエンナーレ実行委に批判が殺到。

国際芸術祭に共同出資している名古屋市の河村たかし市長が現地を視察し、「少女像」の展示を中止するよう求める方針を明らかにするなど、波紋が広がっている。

この騒動に混ざってネット上で拡散したのが、安倍首相と菅官房長官と見られる人物の口をハイヒールで踏む作品の画像だ。

Twitterで拡散されると、まとめサイトが記事を配信するなどし、さらに情報が広がった。

まとめサイト・保守速報は《【酷すぎる】愛知トリエンナーレ2019 昭和天皇を焼く、安倍総理をヒールで踏みつけるオブジェ展示。慰安婦像も。津田大介が芸術監督(動画あり)》として記事を配信。

この記事は2日午後5時半現在、FacebookやTwitterで計約7000件シェア(計測ツールBuzzSumoによる)されている。

「侮辱する作品」

しかし、これはそもそも誤りだ。

この作品は現代美術作家の竹川宣彰氏による作品『Eat this sushi, you piece of shit』で、過去も含め、「あいちトリエンナーレ」にて展示された事実はない。

トリエンナーレ実行委は2日、記者会見を開き、「安倍首相や菅官房長官を侮辱する作品が展示されている」ことが「誤情報」だとする公式見解を発表した。

安倍首相や菅官房長官を侮辱する作品が今期の企画で展示されている誤情報がネットには流れていますが、事実と異なります。過去のあいちトリエンナーレで展示されたこともありません。

あいちトリエンナーレと竹川氏のHPによれば、竹川氏は「あいちトリエンナーレ2017」において自身の作品を出品しているが、同作品ではなかった。


BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

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  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。