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秋篠宮さまが述べた"厳しい現実" 「心が痛み」「脳裏から離れない」記憶と人々

未来に向けて大切なこと。

東日本大震災から8年となった3月11日、政府主催の追悼式が東京都千代田区の国立劇場で開かれた。

5月の代替わりに伴い、皇位継承順1位の「皇嗣(こうし)」となる秋篠宮ご夫妻も出席され、いまなお多くの被災者に「厳しい現実」があると、おことばを述べた。

午後2時46分。地震が発生したこの時刻に、追悼式で全員が1分間の黙祷をささげ、犠牲者の冥福を祈った。

安倍晋三首相は、式辞で「ハードからソフトにいたるまで、災害に強い国づくりに努めることを固く誓います」などと語った。

その後、秋篠宮さまは「当時の状況は、8年を経た今でも決して脳裏から離れるものではありません」と心境を述べた。

「ここに、震災によって亡くなられた人々とその遺族に対し、深く哀悼の意を表します」

秋篠宮さまは、被災地の人々の復興に向けた努力や、国や全国の自治体をはじめ、国内外の多くの人々が支援してきた点に言及。

その結果、住宅の再建や生活環境の整備、災害の再生、沿岸部の鉄道の復旧、防災施設の整備など「復興の歩みは、着実に浸透してきております」と語った。

また、福島第一原子力発電所事故にも触れ、「本格的な復興・再生に向けての動きが進んでおります」と示した。

秋篠宮さまが述べた”厳しい現実”

「しかし」と、秋篠宮さまは続け、「心が痛みます」と次のように気持ちを述べる。

「その一方で、いまなお多くの被災者が、被災地で、また避難先で、依然として不自由な暮らしを続けている厳しい現実があります」

震災による死者は1万5897人、行方不明者は2533人、震災関連死は3701人。避難生活者は全国におり、いまだ約5万2千人にのぼる。

「とりわけ、いまだに放射線量が高いことなどによって、自らの家に帰還できない人が多いことや、児童および生徒数の減少、さらに根強い風評被害により、農林水産業などへの影響が残っていることへの思いを馳せると、心が痛みます」

「さらに、避難生活が長期化する中で、高齢者をはじめ、被災者の心身の健康のことは深く心が痛みます」

未来に向けて

秋篠宮さまは、被災者が、誰一人取り残されず、少しでも早く平穏な暮らしを取り戻し、復興の歩みが着実に浸透していくために、こう考えを語る。

「皆が心を一つにして、被災した地域の人々に末長く、寄り添っていくことが大切でありましょう」

そして、未来に向けたおことばで締められた。

「日頃から避難訓練や防災教育の重要性を強く認識し、個々の災害の記録と記憶が忘れ去られることなく、これを継承していくことが、いかに大切であるかを学びました」

「この教訓を決して忘れることなく後世へと伝え、災害の危険から多くの人々が守られることを心より願っております」