新たに即位された天皇陛下は5月1日午前、皇位継承に伴う儀式「剣璽(けんじ)等承継の儀」と「即位後朝見の儀」に臨まれた。
天皇陛下は最高位の勲章「大勲位菊花章頸飾(けいしょく)」を身に付けられた。
大勲位菊花章頸飾とは
大勲位菊花章頸飾は日本で最高位の勲章で、1888(明治21)年に制定。「頸飾」は首飾りのこと。
2003年に定められた授与基準では、大勲位菊花大綬章と併せて「旭日大綬章又は瑞宝大綬章を授与されるべき功労より優れた功労のある方」とのみ定められている。
勲章のデザインは、国旗「日の丸」を象徴する日章を中心に光線(旭光)を用い、その周囲に菊花と菊葉を配している。
頸飾部分は「明」と「治」の文字をそれぞれ古篆字で意匠化したものと、菊花と菊葉をあしらった金具を繋げ、連環にしている。中央には金色の菊花と、七宝でつくられた菊葉があしらわれている。
伊藤博文、東郷平八郎らが叙勲
最高位の勲章であることから叙勲例は少ない。
戦前は「大勲位菊花章頸飾ハ大勲位ニ叙セシ者ニ特別之ヲ賜フ」(明治二十一年勅令第一号第二条)とのみ規定された。
天皇・皇族を除き、生前に授与されたのは6人のみ。初代首相の伊藤博文や日露戦争で活躍した東郷平八郎、「最後の元老」と呼ばれた西園寺公望など、特筆すべき功労があったとされる人物に授与された。
戦後は昭和天皇、上皇さま、天皇陛下のみが佩用(はいよう=勲章を身につけること)。それ以外は吉田茂と佐藤栄作が死去後に叙勲された例、外国の君主など要人に対する儀礼的な譲与に限られている。
政府は5月1日、宮中晩さん会など儀礼・儀式の際に身に着ける勲章として、新天皇陛下に「大勲位菊花章頸飾」のほか、「桐花大綬章」「文化勲章」をお渡しした。