• okinawabfj badge

沖縄慰霊の日に11歳の少女が訴えたこと「お金持ちになることや有名になることが幸せではない」(全文)

「二度と悲しい涙を流さないために。この島が、この国が、この世界が幸せであるように」

6月23日、沖縄は「慰霊の日」を迎えた。74年前(1945年)のこの日、太平洋戦争における旧日本軍による沖縄での組織的戦闘が終わったとされる。

日米両国で20万人以上が犠牲となり、県民の4人に1人が命を落としたとされる沖縄戦。その最後の激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念公園で、戦没者の追悼式典が営まれた。

式典では、糸満市立兼城(かねぐすく)小学校6年の山内玲奈さんが平和の詩を朗読した

山内さんは、沖縄が戦争の惨禍に見舞われたことに思いを馳せつつ、「お金持ちになることや有名になることが幸せではない」「家族と友達と笑い合える毎日こそが本当の幸せだ」「未来に夢を持つことこそが最高の幸せだ」とつづった。

全文は以下の通り。


青くきれいな海

この海は どんな景色を見たのだろうか

爆弾が何発も打ちこまれ 炎で包まれた町

そんな沖縄を見たのではないだろうか

緑あふれる大地 この大地はどんな声を聞いたのだろうか

けたたましい爆音 泣き叫ぶ幼子 兵士の声や銃声が入り乱れた戦場

そんな沖縄を聞いたのだろうか

青く澄み渡る空

この空は どんなことを思ったのだろうか

緑が消え 町が消え 希望の光を失った島

体が震え 心も震えた

いくつもの尊い命が奪われたことを知り

そんな沖縄に涙したのだろうか

平成時代 私はこの世に生まれた

青くきれいな海 緑あふれる大地 青く澄みわたる空しか知らない私

海や大地や空が 74年前 何を見て 何を聞き 何を思ったのか

知らない世代が増えている

体験したことはなくとも

戦争の悲惨さを 決して繰り返してはいけないことを 伝え継いでいくことは

今に生きる私たちの使命だ

二度と悲しい涙を流さないために

この島が この国が この世界が幸せであるように

お金持ちになることや 有名になることが幸せではない

家族と友達と笑い合える毎日こそが 本当の幸せだ

未来に夢を持つことこそが 最高の幸せだ

「命どぅ宝」

生きているから笑い合える

生きているから未来がある

令和時代 明日への希望を願う新しい時代が始まった

この幸せをいつまでも


毎年、沖縄慰霊の日の戦没者慰霊式典では、沖縄の子どもたちが沖縄戦について綴った「平和の詩」を朗読する。

2018年は、沖縄の美しさ、忘れることのない戦禍の悲しみ、平和への誓いを力強く訴えた相良倫子さんの朗読が、大きな反響と共感を呼んだ

県民の9割は、戦後生まれとなった。2月には、沖縄戦に従軍した日本文学研究者のドナルド・キーンさんが亡くなったことも記憶に新しい。

令和の時代に戦争経験をどのように継承していくか模索が続いている。