フランス・パリのノートルダム大聖堂で4月15日夜(日本時間16日未明)に発生した火災。延焼が危ぶまれたが、発生からおよそ数時間が経過し、消火活動もあって火の勢いは収まっているようだ。火はほぼ消し止められたという報道もある。
この火災で、建物の中央にあった高さ約90メートルの尖塔が崩れ落ちた。また、屋根のおよそ3分の2が焼け落ちた。
フランス内務省によると、少なくとも400人の消防士が消火活動に参加。AP通信によると、このうち1人が活動中に負傷したという。
それでも十字架は、そこに立っていた。
火災後、大聖堂の内部を撮影した写真がある。煙が残るなか、焼失を免れて立ち続けている十字架や、損壊して穴の空いたアーチ状の天井などが見て取れる。
十字架のもとには、斃れたイエスを抱く聖母マリアの像があるのが見て取れる。
パリ市長がメッセージ「パリは『たゆたえども沈まず』」
フランスを代表する建築でもあり、パリのシンボルの一つだったノートルダム大聖堂が炎上したことに、市民の動揺は大きい。
フランス大使館は4月16日、パリ市長のアンヌ・イダルゴ氏がノートルダム大聖堂の火災発生後にTwitterで発表した声明を日本語訳で紹介した。
「炎上するノートルダムを前にして、私が感じる苦しみを表現できる言葉がありません。今夜、すべてのパリ市民とフランス人が私たち共通の歴史の象徴に涙しています。私たちの標語から、私たちは立ち直る力を得るでしょう。パリは『たゆたえども沈まず』
――アンヌ・イダルゴ パリ市長
聖遺物「いばらの冠」は無事だった。
ノートルダム大聖堂の内部には、数々の歴史的な美術品、文化財が保管されていた。中でも重要とされるのが、聖遺物の「いばらの冠」と13世紀のフランス国王ルイ9世(サン・ルイ、聖王)が着用していたチュニックだ。イダルゴ市長によると、この2つは消防隊によって運びされ、無事だという。
聖遺物はキリスト教の聖人の遺品・遺骨で、信者の崇敬の対象。ノートルダム大聖堂にある「いばらの冠」はイエス・キリストの聖遺物とされ、ゴルゴタの丘で十字架刑に処されたイエスが頭に被せられたものだと伝えられる。